EN王国のお姫様 (ページ44)

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お城に戻って来た私たち2人。
ジョンウォンオッパへの疑いが晴れたこともあって、少し気分がいい。
この調子でジェイクオッパとも話して、真犯人に繋がるヒントでも見つけられたらいいんだけど。

城からは綺麗な夕焼けが見えた。
もうすぐ日が暮れる。
ジェイクオッパにあてがわれた部屋の前で1度深呼吸をしてから、ドアを3回ノックした。

「はーい…って、Aとニキ…？」

すぐに開かれた扉から顔を覗かせるオッパ。
思わぬ来客に驚いたようだ。

『ジェイクオッパ、少しお話したいことが…』

「…いいよ、中に入って。」

ジェイクオッパに促されるまま、部屋の中へと足を踏み入れるニキと私。

「もしかして、今日のことと何か関係あったりする？」

「ジェイクヒョンは察しがいいですね。」

『実は私たち、あのビラを撒いた犯人を探してるんですけど…』

そう言うと、先程まで笑顔も見せていたジェイクオッパが視線を落とした。

『ジェイクオッパ、誰かにソンフ二オッパのこと話したりとか、その話を聞かれたかもしれないとかってないですかね？』

「…なんで僕を疑わないの？」

『だって…ジェイクオッパがそんなことする訳ないじゃないですか。』

ヒスンオッパやソンフニオッパを尊敬してるって言っていたあの言葉を、私は嘘だなんて思えない。
ジェイクオッパはすごく真っ直ぐで、素直で、真摯な人だって思ってる。

真っ直ぐジェイクオッパの目を見て言う私を、じっと見つめ返すジェイクオッパ。
その様子を、黙って見ているニキ。
部屋の中に沈黙が流れた。

「ビラを撒くように指示したのは僕だよ。」

『──え？』

「ヒスンヒョンのせいで失敗しちゃったけどね。やっぱりすごいな、あの人。」

思わぬ返答に頭が真っ白になる。
淡々と話すジェイクオッパが、つい先程まで一緒に居たオッパじゃないみたいで怖い。

「本当にジェイクヒョンがやったんですか…？何のために？」

「理由？そんなの今更知ってどうするの。僕は君たちをこの国から追い出すためにソンフンの秘密をバラした。その事実だけで十分でしょ。」

『そんなの…そんなの納得できないですよ！だって、ジェイクオッパがそんな未来を望む訳がない…』

あの時話してくれたジェイクオッパの想いはなんだったの。
思い出せば出すほど、こんな事実が事実である訳が無いと思えてくる。

「A、あの日話したことなんてもうどうでもいいんだよ。僕に未来なんてやっぱり元々なかったから。」