EN王国のお姫様 (ページ41)

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「提案としては面白いですが、現実味がありませんね。」

「これ計算間違ってますよ。予算内に収まっていません。」

「また去年の話ですか？言い訳はもう十分です。」

議会を2階の窓から覗く私とニキ。
決して忍び込んだ訳ではなく、ちゃんと警備の方に話は通してあります。
この議会が終わったら、ジョンウォンオッパと話せることになったから、その間少し見学を…と思ったんだけど。

「あれのどこが猫ちゃんなの？？鬼じゃん。」

『おに……』

議題をあげては散っていく政治家の皆様。
ジョンウォンオッパは顔色1つ変えずにばっさりと提案を切っていく。
つり上がった目元から冷ややかな視線を送っている姿はもはや独裁者のよう。
その様でさえもカッコよく見えるんだからオッパってすごい。
え、私この人と政治の話しなきゃいけないの？大丈夫そ？

「では、今日のところはここまで。来週には良い議案が上がることを期待しています。」

「あっ、終わった！早く下にいくよ！」

『え、ちょ、ちょっと待ってニキ…！』

ニキに手を引かれながら階段を駆け下りる。
心の準備くらいさせて欲しいものだけど、多忙なジョンウォンオッパの時間を少しでも貰えたんだから仕方ない。
ニキが用意された控え室の扉を勢いよく開けた。

「これはこれは…仲良く姫と騎士のお出ましだね？」

『ジョンウォンオッパ…！』

1人椅子に腰掛けるジョンウォンオッパ。
人払いは既にされているらしく、オッパはリラックスしながら先程の議会とはまるで別人のようにニコニコと私たちに笑顔を向ける。

「こんなに早く、またAに会えるなんて嬉しいな…と言いたい所だけど、こんな所にまで会いに来るってことは、何か良くない話がありそうだね。」

「…もう知ってるんじゃないですか？ジョンウォン王子なら。」

『ちょっと、ニキ…！？』

ニキは座っているジョンウォン王子を見下ろして、じっと睨んでいる。
私がオッパと話すって言ったのに、なんで入ってくるのか。
ニキに抗議しようと繋がれた手を動かすも、ニキは固く握りしめて全く離してくれない。

「さぁ…それより、僕の挑発に乗るのはいいけど、Aに傷つけないでよ、ニキくん。」

「先に手出した貴方に言われたくないです。」

『何の話……？！』

静かに火花が散っているこの空間。
この2人初対面だよね？

「自分のモノにする時間はいくらでもあったでしょ。」

「王子には分からないですよ、庶民の気持ちは。」