EN王国のお姫様 (ページ38)

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「そろそろ演説の準備に行かないと。」

重たい空気の中、ソンフニオッパが力なく笑った。
私を心配させまいと無理に笑顔を見せているのが分かって余計に辛くなる。

『オッパ…』

「行ってくるね。」

ソンフニオッパが部屋を出ようとしたその時だった。

「た、大変です！！ヒスン王子が……！！」

息を切らして走ってきたのであろう従者の1人が、ここに居ない人物の名をあげた。

「ヒスンヒョンに何かあったのか？！」

「違います！その逆…というか、とにかく来てください！」

言われるがまま城を飛び出した私たちは、演説の場所として用意されていた場所に辿り着いた。
そこには、演説台に登っているヒスンオッパの姿があった。

『ヒスンオッパ…？！』

「ヒョン、何やって…！」

「だ、ダメです2人とも！ヒスン王子が、弟と妹はこちらに近づかないようにと…」

今まで、表舞台に立つのは苦手だし、ソンフンの方が得意だからと、国民の前に立つことはほとんどなかったヒスンオッパ。
いつもサポート役として父やソンフンの影で動いていたオッパが、こうやって1人で立つのは初めてなんじゃないかと思う。

「このビラに書かれている通り、確かに私とソンフンに血の繋がりはありません。それでも、私はソンフンが次期国王になるべきだと考えています。その理由は……皆さんが1番よく知っているでしょう。この事実を皆さんに言わなかったことで、裏切られたと感じた方もいらっしゃると思います。その点に関しては、この事実が差ほど重要でないと考えた私の責任です。ただ…普通に暮らすことができた少年が、自らその人生を捧げて、国の為に尽くしてきた事実もまた、変わりありません。皆さんがどちらの事実を重視されるか。ソンフンの今までの行動と、このビラ…どちらを信じるべきか。よく考えてください。」

しん、と静まり返った広場。
ヒスンオッパの言葉に、誰もが耳を傾けていた。

「ソンフンが次期国王になることを承認される方は拍手を！」

わっ、と溢れんばかりの拍手と声援が広場を包み込む。
ヒスンオッパはくしゃりと笑うと、演説台を後にした。

「ヒスンヒョン…！」

「ソンフンにA…聞いてたの？恥ずかしいなぁ。まあ…とりあえず、ソンフン、挨拶してきな？」

「…ありがとう、ヒョン。」

ソンフ二オッパが拍手で埋め尽くされた演説台へと歩き出した。