EN王国のお姫様 (ページ3)

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顔を洗って、もう1人のお節介なお世話係の言うことをちゃんと聞いて、しっかりスキンケアする。
私ってば、朝からちゃんと保湿して偉いな。

『あ〜。でもメイクが面倒すぎる…。』

「アンデ〜！今日は大事なパーティーがあるんだから、ちゃんとオシャレしなきゃだめ！」

『げ。ソヌオッパ…。』

噂をすれば、もう1人の私のお世話係のキム･ソヌことソヌオッパがやってきた。
私よりも白いんじゃないかというくらいのモチモチなほっぺを膨らませて、怒るオッパ。
正直、可愛くて全く怖くない。

「げ、ってなにさ！も〜、僕が居ないといっつも手を抜くんだから。そんなんだと、いつまで経っても王子様は現れないんだからね！」

『べつに王子様なんていらないもん…。』

ふん、とそっぽを向く私に、ソヌオッパはため息をつくと、大きなクローゼットをあけてブツブツと独り言を言いながら服を選び出した。

私はまだ自由に生きたいし、遊びたい。
恋とか愛とか、そんなの分かんないし、ドキドキ？とかいう気持ちも知らない。
そりゃあ少し前までは、ガラスの靴を持って颯爽と現れる王子様に夢を見ていたかもしれないけど。
オッパに、Aにはまだ早い！って本を取り上げられちゃったし。

「今日のパーティーには、隣国の王子様も来るんだから。EN王国のお姫様ってそんなもんかなんて思われたら嫌じゃんか。ただでさえ、国中に”美しいお姫様”って広まってるのに。」

『うぅ…気が重い…。ソヌオッパが代わりに行ってよ！私より可愛いし！』

「はあ？！僕は男なんだから、無理に決まってるでしょ！」

可愛いってのは否定しないんだな、オッパ。
なんて、そうこう言っているうちに、ソヌオッパは青いドレスを取り出した。
まるで、シンデレラが身につけていたような、清潔で美しいフォルムのドレスだ。

「ドレスはパーティーに行く前に着替えるとして。今日のコンセプトは王子様を待つシンデレラ！僕がパーティーで1番可愛いお姫様にしてあげる。」

そう言って、ソヌオッパは天使のようにニッコリと微笑んだ。
その言葉に、ちょっと心が踊る私もいる。
私より、私の準備を楽しんでくれるオッパはちょっと頼りになるな、なんて思ったり。
でもそう言うと、オッパは調子に乗るだろうから、私は黙って目を閉じた。