EN王国のお姫様 (ページ18)

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「名残惜しいけどそろそろ帰らないとかな。」

日が落ちかけてきて、少し肌寒くなってきた。
楽しくて途中から忘れていたけど、私たちは今失踪中(？)な訳で。
このまま夜まで帰らないとなると、そろそろ事件性を疑われて大事になる可能性もある。
ほら、一応私たちは王族だから…うん。

「花火は帰ってから一緒に見よっか！」

『うーん、見れますかね…』

多分その頃は絶賛お説教中だと思いますが私たち。
ポジティブなジェイクオッパと手を繋いで帰ろうとしたその時。

たすけて────！

『えっ…！』

「？どうしたの？」

マーケットの喧騒の中に、幼い子の悲痛な叫びが聞こえた気がした。
私の聞き間違いだろうか。
でも、もし本当だとしたら──。

『今、子供の叫び声が聞こえた気がして……あ、あそこ！』

周りを見回していると、細い路地裏に引きずり込まれていく小さな男の子の姿が。
ジェイクオッパと繋いでいた手を振り払って男の子の下に行こうとすると、オッパが私の手を自分の方へと引っ張った。

「危ないからAはここに居て。」

そう言うとジェイクオッパは路地裏に飛び込んで行った。
危ないのはオッパだって同じなのに。
そう思ったら居てもたってもいられなくて、私も路地裏へと走った。

『オッパ、大丈夫ですか？！』

「っ離せ！！」

「それはちょっと出来ないかな。」

ほんの少し出遅れただけだというのに、ジェイクオッパは犯人であろう男を取り押さえていた。

『ぼく、こっちおいで…！』

「怖かったよ…！」

オッパによって取り押さえられた男の横で泣いている男の子を抱きしめた私は、この子の声を聞き逃さないでよかったと心底安心した。

「…！アンタ、もしかしてレイラ王国から来たの？」

「だとしたらなんだよ！」

「これは我がレイラ王国とEN王国の仲を揺るがすことに繋がりかねない大罪だよ。」

ジェイクオッパはそういうと、フードをとって男に顔を見せた。
男は見る見るうちに顔が青くなっていく。
それもそうだ。だって目の前に居るのは何度も見たことがあるであろう、自分の国の王子なのだから。

『子供を連れ去るのはEN王国でも重い罪です。何故貴方はそんなことを？』

「それは……」

男は、ジェイクオッパの顔を見ると、とても苦しそうに呟いた。

「食べ物に困っている家族のために…子供を利用してお金を得ようとしたのです…」