【七つの大罪】甘い恋の魔法に酔う。【短編リレー】 (ページ35)

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桜舞う季節。別れ時。【バン】@夢七ページ35

＿桜舞う季節。別れ時。＿

｢うっ....バンっ....行かないで....｣

人々が別れを惜しむ桜舞う季節の駅のホーム。

大好きな人の温もりに少しでも長くすがっていたくてバンの服を掴み、胸に顔をうずめる。

｢泣くなよ。少し離れるだけだろ♪｣

バンはいつもみたいに笑って私の頭に優しく触れる。

バンは私より2つ年上。

別れが来るのも知っていた。
それまでに伝えるって決めていた。
なのに。
幼馴染みのままこの日を迎えてしまった。

小さい頃からずっと一緒に居たのに。
なんで伝えられなかったんだろう。
なんで伝わらなかったんだろう。

離れる悲しみと、伝えられなかった後悔が同時に込み上げてきて、ひと粒またひと粒と涙が溢れる。

｢バンっ....おいて....かないでよっ....。｣

｢ごめんな。すぐ帰ってくるからよ～。｣

｢すぐって....いつ？｣

｢ん～。いつだろうな～♪｣

カカカッていつも通り笑うバン。
笑わないでよ....。
泣いてほしいの。離れたくないって。

｢....明後日？｣

｢そりゃ無理だな～♪｣

｢じゃあ....いつ？｣

｢ん～。5年？｣

そんなのすぐじゃないじゃん。

｢すぐじゃない....じゃん｣

私は離さないように離れないようにバンにしがみつく様に服を掴む強さを強くした。

｢A。もう電車出ちまう。｣

一言言って離れようとするバン。

｢....や。絶対....いや。｣

いやってバンにすがりつく私。
何も伝えられていないのに。
行ってしまうなんて絶対にいや。

でも、バンの方が力は強くて、私とバンの間に少しづつ隙間ができる。

｢行かないでっ....好きなの....バンの事がっ....好きなの。｣

焦って咄嗟に出てきた言葉は気持ちを伝える言葉。

言ってしまった以上あと戻りは出来ない。
私は下を向いてただバンの言葉を待った。

｢そんな事。ずっと前から知ってたぜ♪｣

上から聞こえてきたのは、ご機嫌そうなバンの声。

｢え....｣

｢分かり易いんだよ。お前♪｣

気付かれたと思うと一気に恥ずかしくなる。

私が下を向くと、バンは私の髪を乱すようにくしゃりと撫でる。

｢Aが大人になったら。返事してやるよ♪｣

｢なっ....も、もう、大人だしっ！｣

｢好きな奴が遠くに行くのが嫌で号泣するのが大人なのか？｣

バンはカカカッと笑って電車に乗り込んだ。

そのまま電車は行ってしまい、私はその場に泣き崩れた。

帰り道、桜が舞う道を通る。

ああ。5年もまたなきゃいけないのかぁ。

でも、待ってるから。