ろくじゅうろく! ページ19
入間side
ポツリポツリとライカが語ったものは僕が思った以上に重い過去だった。
僕も平和だったとは言えない生活をしていたけれど、もっと大変で苦労してきたみたい。
だから時々暗い悲しい顔をするのか…と、納得する。
ライカは最後に、未だ仲間は実験台にされていると小さく呟いた。
悔しかっただろうな。悲しかっただろうな。
仲間を置いていきたくない。でも自分が逃げないと、何も始まらない。
その思いの中、激しく心が揺れ動いていたのだと思う。
きっと、逃げたことをずっと後悔しているんだ。
でも、それは違う。ライカ、君は今を見てほしいんだ。
こんなに楽しい今が、大切な宝になるから。
きっと、その子達を助ける時に役に立ってくれるから。
「ほら、前を向いて。僕も、アズ君も、クララも、皆が君を大切に思っている。だからね、大丈夫。」
ライカの目を見て、しっかりと伝えると、安心したように少し笑った。
と思ったら、ライカがストン…としゃがみ込んでしまった。
「え?どっ、どうした?」
焦って声を掛けたけど、心配はいらなかったみたい。
『へーき。しあい…つづけてていいよ…』
そう言ってすやすや寝始めた。
皆ホッとしたように、息を吐いた。
遠くからカルエゴ先生が声をかけてくる。
「ライカは平気か。なら試合を再開する。」
最後に僕とアズ君で戦い、勝って、僕はベトに昇級した。
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作者名:アスルル | 作成日時:2024年1月5日 15時