アナザー・ストーリー〈赤〉 (ページ24)

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私をこんなにも想ってくれる人が、今、ここに居る。

しがみついていた私の背中に、あなたの腕が回された時、
胸が壊れそうなくらい激しく脈打った。

ごめんなさい、流星。

私はやっぱり、流星との約束を守れなかった。

私は流星を信じて、待つことが出来なかった。

せっかく、流星が私を、
この暗く悲しい恋から救い出してくれたのに。

私は、流星が隣に居ないとやっぱりだめで。

結局また、この世界に自ら飛び込んでしまった。

「A」

そんなに甘く、切ない声で名前を呼ばないで。

あなたの手が、私の頬へと伸びてくる。

何度も何度も、望んだこと。

冷たくて不安げで、温もりを探すように長いキスだった。

「…私、」

お兄ちゃんが好きだよ。

言葉の続きを伝えられなかったのは、
あなたの瞳が揺れていたから。

私と初めて、キスをしても。

あなたは幸せそうな表情はしていなかったから。

ここであなたに想いを伝えてしまったら、
あなたはきっと恐怖に押し潰されてしまう。

「愛してんで」

きっと、私の方が愛してしまっていたのかもしれない。

だって私はこの時もう、全ての覚悟を決めていたから。

何一つ、後悔なんてしていなかったから。

あなたを好きになったのは、必然だったんだって。

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