・ ページ19
·
流星みたいに、強烈な光ではなかった。
でも、一緒に居たら普通にときめいたし、優しくて。
やっぱり私の話を上手く言語化してくれる望との会話は、
居心地よかった。
このまま、この先も、望と居る未来は、案外簡単に見えた。
きっと望とだったら、ずっと笑って居られる。
望のことだったら、いつか、これでよかったって、
一点の曇りもなく好きって、思えるようになる。
好きって、まだ言えたことはなかったけど、
心の中ではずっとそう思ってた。
でも、そんな私の心は、
あまりに自分勝手な理想が膨らんでいただけだった。
このままの状況で、何年も一緒に居れる、なんて思っていた私は、
あほで最低だったと思う。
兄への隠し切れない気持ちも、
流星への褪せ切らない気持ちも、
望に寄りかかってしまう気持ちも、
全部全部、手放せなかった。
私は相当弱く、わがままでなようで。
一人では立てないんだ。
誰かに、心も、体も、寄りかかっていなければ。
望の心が離れていっていることすら気が付かないまま、
甘い蜜だけを吸って、現実逃避した。
·
83人がお気に入り
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:みなみ | 作成日時:2023年7月3日 12時