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その日から、望に少しずつ、
流星の話や、兄の話をするようになった。
相談、とまではいかないけれど、話の流れで、何となく。
「じゃあその流星って人がおらんと、
Aはまた兄ちゃんしか見えんくなってまうんや」
「何か嫌や、その言い方」
「ははっ、ごめんて」
何より、こんなに異常で、軽くもない話なのに、
的確に私の気持ちを言語化して返事をしつつも、
いつもと変わらないテンションで話してくれる望との会話は、
心地よくて。
いつの間にか、私にとって心許せる空間になっていた。
「両思いなんやろ？二人は」
「…多分ね」
「告白せんの？」
「茨の道すぎるやろ。お兄ちゃんと一緒になるなんて」
「まあたしかに」
「それにお兄ちゃんは、小心者やし真面目やから、
関係を変えようとなんてせんやろうし」
「そういう人なんや」
「そういう人なの。
せやから私も、変えるつもりない」
「一生おひとり様？」
「…知らんよ、そんなん、」
「なら、俺と付き合う？」
甘すぎて、目眩がした。
「は？」
「キレてるん？それ」
「これはキレてる」
「何でキレんねん」
「…望、チャラすぎ」
「割と本気なんやけどなあ」
「…今までの相談内容聞いてましたか？」
「聞いてるから言ってるんやけど」
「…何、言うてんの」
「冷たいこと言ってまえばさ、
流星って人、待ち続けたって仕方ないやろうし。
兄ちゃんとどうにかなりたいわけやないなら、
このまま兄ちゃんとずっと二人で居るのしんどない？」
「ばっさり言い過ぎ」
でも全部、本当のこと。
「俺と、付き合えばええやん」
「何でそうなるん」
「好きやから。Aのこと」
「…え、」
「大分前からな。てか、好きやなかったら、
こんな風に親身になって話聞いてあげたりせんくない？」
「親身とか…自分で言う？」
「自分で言う」
「はあ、」
「兄ちゃんと二人の世界やなくなるよ。俺がおるから」
その言葉は、魔法みたいで。
「せやからさ、兄ちゃんの代わりでも、ええとか、言ったら、
付き合ってくれる？」
私は魔法にかけられてしまった。
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作者名：みなみ | 作成日時：2023年7月3日 12時
