アナザー・ストーリー〈赤〉 (ページ13)

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後から聞けばこの日、
あなたはテスト後に模試やら受験のことやらで先生に呼ばれて、
なかなか帰れなかったらしい。

私がすっかり暗くなってから家に帰ろうと公園の前を通った時、
あなたは真っ白な顔でブランコに座っていて。

私の姿を見つけると、
流星なんか見えていないかのように、私の元に走ってきて、
私を抱き締めた。

ごめんなって、謝り続けるあなたとようやく体を離した時、
気付けば流星の姿が無くて。

私は、やっとあなたに会えたのに、
後ろ髪を引かれる思いで家に帰ったことを、覚えている。

当時の私は、私との約束よりも勉強を優先するあなたに、
不満を感じていたけれど。

沢山の大学がある中で、それなりに難易度の高い、
家から一番近くの国立大学への進学にこだわったのは、
私のためなんだろうって。

ずっとずっと後になってから気が付いた。

それでも、私が中学校に上がってからは、
大学生のあなたと一緒に過ごす時間はやっぱり減って。

流星と過ごす時間は増えて。

いつだって私が、心のままに私でいられて、
私に沢山の世界を見せてくれる流星と、過ごす日々。

私は生まれて初めて、
あなた以外の人に対して特別な感情を抱き始めていたし、
何より私はそのことに安心していた。

もう、自分の立場に苦しむ必要も、
友達に好きな人を聞かれた時に濁す必要も、
無いんだって。

私は確実に、流星への想いを募らせていった。

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