【UNDERTALE】色んなハートの詰め合わせ【短編集】 (ページ10)

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＊10 酷いのに、大好き（フリスク）ページ10

ぼくの好きな人には恋人がいる。

出来てしまった。…諦めたからかな。
諦めなかったらどうなってたんだろう。

「フリスク、おはよう！
あれまた大きくなった？」

ぼくを見るなり、
遠慮なく笑顔で声をかけた彼女。
勿論悪気は無い。

「＊おはよう、A！
最近足が痛いんだよね。
せいちょうつうってやつかな？」

「羨ましいなぁ。私の身長なんて
すぐ抜かされちゃいそう。」

店のガラスに写った
自分を見てため息を吐くA。

小さいきみも大好きだよ。
ぼくがもっと大きくなって
きみを抱きしめたいな。

なんて、言えない。

……あのサンズが、言う勇気を持って
想いを伝えたと思うと尚更胸が痛んだ。

ぼくに、伝えるケツイがあったらな。

「＊Aはそのままでも十分
可愛いと思うよ！」

そう言うとAは顔を背けて照れた。

「相変わらずフリスクは褒め上手だね…！
絶対モテそうだなぁ。
告白されたりとかしないの？」

「＊うーん、ないかな。もしも
そういうことがあるなら
お断りするけどね…。」

「えっ！なんで！？」

慌てて断る理由を探した。

「＊えと、仲介役で忙しいからさ…！」

「うーん、そっかぁ。でも私そうなると
フリスクの将来心配だなぁ。
彼女か彼氏出来たらちゃんと教えてね！？」

「＊わかった、…ありがとう！」

そうだね、Aより魅力的な人が
もしも現れたら考えようかな。

…あとね、本当は何回か女の子に
思いを伝えられたことがあるんだけど、
“好きな人がいる”って、断ってるんだ。

勿論その人たちと付き合うことを
真剣に考えたけど、やっぱり、どうしても、

…きみがいいみたい。

でもそれは叶わないけどね。

少し話してAと別れると
後ろから声がした。

「魅力的だろ？Aって。」

「＊あっサンズ…、だね、そうだね。」

サンズの目は何かを
見透かしているようだった。

「(殺そうか？)」と誰かが話しかける。
僕はAが、悲しむ。と言って断った。

「挑戦なら受けて立つぜ？」

「＊ううん、戦うつもりはないよ。
諦めたもん。」

「…そうは見えないぜ？」

HAHAと笑いながらサンズはどこかへ
行ってしまった。

「(君まで殺したくなってきたよ、
フリスク？)」と誰か。
「＊きみは諦めなければ
いいんじゃない？」と返した。

「(諦める、とは“口では“いくらでも
言えるがな。)」

…僕は無視してスイーツ屋に向かった。