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あぁー、車で行けば良かった…
事務所でミーティングがあって、行きはぺけがボーカルレッスンに行くついでに、送って貰ったから、帰りは電車で帰ってる。
満員って訳では無いけど、程よく多い。
あっ…佐久間さんだ。
ドア付近に立ってる佐久間さんに気付いて、俺は近付いていった。
何だか、表情が険しい？
…痴漢じゃん。
マ：「ちょっと美優、はぐれるんじゃねぇよ。」
佐：「えっ？」
今の間だけ、付き合ってる事にして。
俺は小声で佐久間さんに話しかけた。
痴漢の手を振り払って、佐久間さんと痴漢の間に立った。
マ：「あれ？どこの駅で降りるんだっけ。」
佐：「〇〇駅でしょ。」
マ：「そうだった。悪い。」
マジの駅？俺はまた小声で訊いた。
佐久間さんはコクリと頷いた。
俺と一緒の駅じゃん。
〇〇駅に着いて、二人で降りた。
佐：「ありがとう。助かった。」
マ：「大丈夫？」
佐：「うん。」
目に涙を溜めている。
佐：「えっ？」
思わず抱きしめてしまった。
マ：「震えてる…」
佐：「ゴメンなさい。」
＊＊＊＊
このまま一人で帰せなくて、俺の家に連れて来た。
マ：「ココア入れてみた。」
佐：「ありがとう。」
ホットココアを飲んで、少し落ち着いたみたい。
マ：「さっきはゴメンな。彼氏のフリしたり、抱きしめたり…」
佐：「…嬉しかった。」
マ：「えっ？」
佐：「好きな人に…抱きしめられたから…」
恥ずかしいのか、耳が赤くて、どんどん声が小さくなった。
佐：「ゴメン。今の忘れて。」
マ：「忘れられねぇよ。」
佐：「ゴメン。」
マ：「俺も、佐久間さんの事好きだから。」
佐：「ウソ…」
マ：「嘘じゃねぇ。良かったら付き合って欲しい。」
佐：「本当に良いの？こんな私で。」
マ：「どんなでもいい。俺は佐久間さんが好きだから。」
佐：「嬉しい。…ここで笑顔になれたら可愛いのにね。」
マ：「無理に笑わなくて良いよ。佐久間さんが良ければ、これから一緒に笑顔を取り戻そう？」
佐：「うん。」
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作者名：ちゃぴこ | 作成日時：2019年12月7日 22時
