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Episode33.恋人までのxyz ページ33

お会計を済ませ店外に出てからベルモットの車を停めた駐車場まで徒歩で向かう。
路地裏に進むと「2人の組み合わせは珍しいですね」と声が聞こえた。

「あら、バーボン。いつから気付いてたのかしら」
「貴方達が入店した時からですよ」

壁に背をつけた降谷さんがベルモットと話しているが、私としては先程のことを思い出してあまり気分は良くない。
それを察知したのか「ロゼ」と名前を呼ばれたので私は視線を彼に合わせる。
思えば告白をしてから初めて降谷さんとは出会う。

「行きますよ」
「折角の楽しいティータイムを横取りするなんて…野暮なことするのねバーボン」
「こちらとしてはロゼにあまりちょっかいかけて欲しくないんですが」
「本当にお気に入りね。貴方がそこまで執着するなんて…野暮なことをしたのは私の方かしらね。じゃあね、ロゼ、お疲れ様」

ベルモットが手をヒラヒラと振りながら車の方へ向かっていくので「ありがとうございました」と声を張ってお辞儀をする。
車が去ったのを見送り、路地を出ようと歩くと、「どうしてベルモットと食事なんかを?」と問いかけられた。

「…安室さんこそ随分楽しそうでしたね」

言ってしまってから酷く後悔した。その言葉は酷く可愛げがないから。
そんな子ども染みた独占欲の所為で少し前を歩いていた彼は、私の方を振り向いた。

「梓さんとの食事ですか?あれはポアロの仕事です」
「…」

目頭がどんどん熱くなって、彼にその姿を見せたくなくて下に俯けば溜まっていた雫が瞳からポロポロ溢れ落ちた。
何が梓さんよ…私のことはあの日抱かれて以来、一度も名前で呼ばれたことがない。
それにポアロの仕事?あんなに楽しそうに若い女性と食事することが?職務怠慢だよ。

「何故泣くんですか」
「…やっぱり降谷さんなんか大っ嫌いです」

精一杯睨みつけて私は降谷さんが向かっていた方向とは逆向きの方向に足を向ける。
恋をするとどうしてこんなに素直になれないんだろう、こんな可愛くない私なんか誰が好きになるって言うんだ。
自己嫌悪に苛まれながらも涙でぐちゃぐちゃの顔を見られたくない、その一心で彼に背を向け歩き始めた。

「A」

その時、名前を呼ばれたのと同時に手首を掴まれてグイッと後ろに力がかかり、そのまま横の壁に背を押しつけられた。
彼の顔が目の前にあって、綺麗な瞳に吸い込まれそうになって顔を横に逸らす。

「ず…狡いです」
「何がですか…今、名前で呼ぶことですか」

彼の言葉が図星過ぎて、見透かされたことに驚いてもう一度彼を見るとその瞬間、唇が重なった。

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設定タグ:名探偵コナン , 降谷零 , 安室透   
作品ジャンル:アニメ
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モモナ(プロフ) - 富岡さん» コメントありがとうございます!お返事遅くなってしまい申し訳ないです…。低評価がついてもそれは一意見として受け止めておりますし、面白いと思っていただける方に向けて更新しているので気にしておりません。優しい心遣い、応援、ありがとうございます。頑張ります! (2020年2月11日 1時) (レス) id: 9a07434cd3 (このIDを非表示/違反報告)
富岡 - なんか低評価の荒らしがいるかもしれませんね・・・応援してるので頑張ってください! (2020年2月5日 17時) (レス) id: 6a73ff0034 (このIDを非表示/違反報告)
モモナ(プロフ) - あやさん» コメントありがとうございます!安室さんの言葉遣い?って結構難しくて本当に謎大き男です…笑。応援ありがとうございます(*´ー`*)とってもうれしいです。頑張ります! (2020年2月3日 0時) (レス) id: 9a07434cd3 (このIDを非表示/違反報告)
あや - 今回の作品もさっそくハマりました笑 モモナさんの文才というか、なんというか、本当に尊敬します(え) モモナさんの書く安室さんや夢主ちゃんが好きです(*^^*) 更新大変だとは思いますが、頑張ってください! (2020年2月2日 18時) (レス) id: 95154b8388 (このIDを非表示/違反報告)
モモナ(プロフ) - 焼き鳥さん» コメントありがとうございます。新作ということで、不安もありますがもっと楽しんでいただけるよう頑張りますね! (2020年2月2日 16時) (レス) id: 9a07434cd3 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:モモナ | 作成日時:2020年2月2日 13時

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