Episode24.リフレインばかり ページ24
真っ暗な闇の中、小さい癖に重たい鉛の銃が私の手を蝕んでいく。
彼の為にニックを撃ったことは何の後悔もない…そしてこの道を選んだ私の覚悟だ。
ただ光がどんどん薄くなっていくのが怖い、漠然とした恐怖が私をどんどん取り込んでいくようで…
「ッ…」
目が覚めれば目の前には降谷さんの姿が見えた。
彼は私を起こしてくれたようで、掴んでいた肩から手を離す。
変な汗が額から浮き出ているのが分かって、すぐに身を起こして袖で汗を拭った。
「うなされていたようなので」
「降谷さん、大丈夫ですか?熱はありませんか?腕の痛みは?」
話の途中で割り込んで彼の容体を心配した。
少し目を見開き、驚いようだったがすぐに「大丈夫ですよ」と呟いたので胸を撫で下ろす。
降谷さんはベッドに下ろしていた腰を持ち上げると、ギシッと軋む音が聞こえた。
そのままハンガーにかかっていた黒いコートを手に取り、羽織ると
「仕事があるので一足先に帰ります。何かあれば連絡してください」
そんな言葉を放って、名残惜しさなんて微塵もなく部屋のドアの開閉音が聞こえる。
一人にしないで___なんてそんな言葉を言える仲ではないことがただただ悲しい。
昨日のことが嘘のようで、嘘ではない、これは現実…それを思い出させた携帯に入っている母からの着信履歴。
「あ、A?昨日出なかったから心配してたのよ」
懐かしく、聞き飽きるほど聞いた母の声がひどく胸に刺さった。
必死に、必死に、母に、父に、そして昨日撃ってしまった男に心の中で謝り続ける。
ただそれをひた隠しにして笑みを浮かべて話している私を、自分自身に嫌気が差した。
「いってらっしゃいませ」
ホテルのチェックアウトを済ませ、ロビーを通りすぎてからドアマンが頃合いを見て私を外に誘った。
ヒールの音を鳴らしながら外に出ると、太陽の熱い日差しが私の顔を照らして嫌な湿気を含んだ暑さがモアッと包んだ。
「ロゼ、おはよう」
「…ベルモット」
サングラスをして涼しい顔をしたベルモットが高級車をバックにもたれかかり、手を振っていた。
鼓動が高鳴りながらも平静を装いながら笑顔をつくる。
言われるがまま車に乗り込み、彼女がハンドルを握りホテルを後にした。
「バーボンから聞いたわ。ロゼ、お手柄だったようね」
「…何がお手柄なんですか」
「ニックを始末したのロゼでしょう?ジンも喜んでたわ」
ベルモットが嬉しそうに喉を鳴らしながら笑っているその姿が何故だがドラマを観ているような、現実離れした気持ちが湧き上がった。
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モモナ(プロフ) - 富岡さん» コメントありがとうございます!お返事遅くなってしまい申し訳ないです…。低評価がついてもそれは一意見として受け止めておりますし、面白いと思っていただける方に向けて更新しているので気にしておりません。優しい心遣い、応援、ありがとうございます。頑張ります! (2020年2月11日 1時) (レス) id: 9a07434cd3 (このIDを非表示/違反報告)
富岡 - なんか低評価の荒らしがいるかもしれませんね・・・応援してるので頑張ってください! (2020年2月5日 17時) (レス) id: 6a73ff0034 (このIDを非表示/違反報告)
モモナ(プロフ) - あやさん» コメントありがとうございます!安室さんの言葉遣い?って結構難しくて本当に謎大き男です…笑。応援ありがとうございます(*´ー`*)とってもうれしいです。頑張ります! (2020年2月3日 0時) (レス) id: 9a07434cd3 (このIDを非表示/違反報告)
あや - 今回の作品もさっそくハマりました笑 モモナさんの文才というか、なんというか、本当に尊敬します(え) モモナさんの書く安室さんや夢主ちゃんが好きです(*^^*) 更新大変だとは思いますが、頑張ってください! (2020年2月2日 18時) (レス) id: 95154b8388 (このIDを非表示/違反報告)
モモナ(プロフ) - 焼き鳥さん» コメントありがとうございます。新作ということで、不安もありますがもっと楽しんでいただけるよう頑張りますね! (2020年2月2日 16時) (レス) id: 9a07434cd3 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:モモナ | 作成日時:2020年2月2日 13時