Episode23.パラドックスの狭間で ページ23
「後始末は頼みます」
ホテルに戻って来た降谷さんと私。
私の部屋で彼はジンに電話をかけていて、状況の説明をしていた。
彼の黒い服は所々破れており、そこから覗かせる彼の肌…左の腕からは血が出ている。
あれは縫わないとどうしようもない気がするが、タオルをバスルームから取って来て電話中の彼に渡した。
間も無く電話を終えると「なぜ撃ったんですか」と私を睨んだ。
「…だって私が撃たなかったら降谷さんは死んでいたでしょう」
「人の為に撃てとは言ってません」
「ずるいです。だって降谷さんは私の為にそれ以上手を汚してるのに」
彼が口を開こうとした時、部屋のチャイムが鳴り響いたので私は肩を上げて驚く。
「大丈夫。僕が呼んだ医者です」
彼は扉を開けるとタトゥーが入ったどう見ても医者とは思えない男が入ってきた。
「おい、お前よくこんな状態で立ってるな。寝ろ」
発言の口調が荒々しいが、言っていることはやはり医者のようだ。
降谷さんをベッドに寝かせるとすぐに注射器を取り出して彼の左腕に刺入する。
すると彼はゆっくりと目を閉じて規則正しい寝息を立てた。
「アンタはこいつの仲間?」
「…はい」
「公安?」
「いえ…公安調査庁の方です…でもなぜ私が仲間だと分かったんですか?」
「こいつが組織の奴らの前で眠る訳ないからさ」
酷く納得させられたその解答。
医者は大きなボストンバックを開けると、緑色のシートを取り出して患部に被せて患部だけが露出するようにハサミで切っていく。
そして銀色のトレーに手袋をつけた手で医療器具を並べる。
「身がパックリだ。こりゃ熱出るかもな」
「あの…貴方は?」
「俺はこいつの協力者、日本で1番の腕の闇医者だよ。医療機関に行けない時は俺がこうやって診てんのさ」
彼は器用に腕の傷を塞いでいく。
痛そうにせず寝ている彼に少しばかり安心する。
何一つ傷を負っていない私が傷つく権利なんてない、目頭が熱くてどうすることもできず涙を溜める自分が情けない。
「気負わなくていい。こいつが誰かの為に銃を撃つことなんて造作もないことさ」
医者はそう言って処置を終えるとそそくさと帰って行った。
スマートフォンが規則的にピカピカ光っていることに気づき、母から着信だと気づく。
ただそれを無視して、眠りについている彼に私は布団を肩までかけ、起きた時の為に水をそばに置き隣のベッドに潜り眠りについた。
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モモナ(プロフ) - 富岡さん» コメントありがとうございます!お返事遅くなってしまい申し訳ないです…。低評価がついてもそれは一意見として受け止めておりますし、面白いと思っていただける方に向けて更新しているので気にしておりません。優しい心遣い、応援、ありがとうございます。頑張ります! (2020年2月11日 1時) (レス) id: 9a07434cd3 (このIDを非表示/違反報告)
富岡 - なんか低評価の荒らしがいるかもしれませんね・・・応援してるので頑張ってください! (2020年2月5日 17時) (レス) id: 6a73ff0034 (このIDを非表示/違反報告)
モモナ(プロフ) - あやさん» コメントありがとうございます!安室さんの言葉遣い?って結構難しくて本当に謎大き男です…笑。応援ありがとうございます(*´ー`*)とってもうれしいです。頑張ります! (2020年2月3日 0時) (レス) id: 9a07434cd3 (このIDを非表示/違反報告)
あや - 今回の作品もさっそくハマりました笑 モモナさんの文才というか、なんというか、本当に尊敬します(え) モモナさんの書く安室さんや夢主ちゃんが好きです(*^^*) 更新大変だとは思いますが、頑張ってください! (2020年2月2日 18時) (レス) id: 95154b8388 (このIDを非表示/違反報告)
モモナ(プロフ) - 焼き鳥さん» コメントありがとうございます。新作ということで、不安もありますがもっと楽しんでいただけるよう頑張りますね! (2020年2月2日 16時) (レス) id: 9a07434cd3 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:モモナ | 作成日時:2020年2月2日 13時