検索窓
今日:11 hit、昨日:7 hit、合計:58,434 hit

Episode21.持つと持たぬと ページ21

「このビルの20階に取引の相手がいます」

彼は黒いコートを着て、私も黒いコートを着てエレベーターに乗り込んだ。
階数の表示が上がっていくにつれてどんどん緊張が大きくなる。

「受け取って終了、それだけですよ」
「…はい」

彼の言葉に安心感を少し覚える頃には20階に到着した。
すると、スーツ姿の男性がこちらに向かってお辞儀をしていたので私も軽くお辞儀をする。

「お待ちしておりました。おや、連れがいるのですね」

降谷さんを横目で見るもそんなの気にしないと言うように私の腰を抱いて奥に連れ込む。
「お連れの方はここでお待ちください」と男性は降谷さんに言ったので、扉の向こうは私一人で行くこととなった。

「君が新入りのロゼかい」
「…はじめまして」
「随分と黒が似合わないね。ジンは君を黒に染めたくなったのかな…推薦されて来たんでしょ」

ニックという男は椅子に座ってタバコを蒸していた。

「約束のものをいただけませんか」
「まぁまぁ、そんな焦らないで」

何か嫌な予感がして、後退りした時後ろには先程の男性が壁になって、もう後ろには下がれない。
彼を見ると口が裂けそうなほどの笑みに背筋がゾクリとした。

「僕はさ、本当は黒の組織なんてつぶれればいいと思っている。でもジンとの仲だからしょうがないのさ」

訳の分からない会話に私は興味がない、それはニックにとってもそうだ。
「だからさ」と彼が椅子から尻を離した瞬間、雄叫びのように私にそれが向けられた。

「なんで君がきてるんだよ!僕の所望はジンだ!ジンがくると思っていたのに」
「…私はただ命令されただけです」

ニックは私の手を引いて両手を背中に回され、机に顔を押し付けられた。
そして私に向くのはニックの歪んだ顔と彼が私の顔に押し付ける銃口。

「おい、連れを呼べ」

スーツの男性がはい、と返事をして扉の向こうの降谷さんを呼んだ。
部屋の中に入ってきた降谷さんと目が合うと「これは一体どういうことですか?」とニックに目線を移した。

「ジンに連絡しろ。ジンが来ないと取引には応じない」
「随分とワガママな取引相手ですね。ジンは貴方に会いたくないからロゼを送ったんです」
「何?」
「察しが悪い男は嫌われますよ」

煽り気味にフッと笑う降谷さん。
私の手を抑えるニックの手がワナワナと震えて私の頰に銃口をくっつける。

「ロゼがどうなってもいいのかい?」
「その前に僕が引き金を引きます」

彼がそう言った時にはポケットに入っていた銃を手にして発砲音が部屋に響いた。

Episode22.unknown→←Episode20.私達はアイスクリーム



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 9.9/10 (68 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
204人がお気に入り
設定タグ:名探偵コナン , 降谷零 , 安室透   
作品ジャンル:アニメ
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

モモナ(プロフ) - 富岡さん» コメントありがとうございます!お返事遅くなってしまい申し訳ないです…。低評価がついてもそれは一意見として受け止めておりますし、面白いと思っていただける方に向けて更新しているので気にしておりません。優しい心遣い、応援、ありがとうございます。頑張ります! (2020年2月11日 1時) (レス) id: 9a07434cd3 (このIDを非表示/違反報告)
富岡 - なんか低評価の荒らしがいるかもしれませんね・・・応援してるので頑張ってください! (2020年2月5日 17時) (レス) id: 6a73ff0034 (このIDを非表示/違反報告)
モモナ(プロフ) - あやさん» コメントありがとうございます!安室さんの言葉遣い?って結構難しくて本当に謎大き男です…笑。応援ありがとうございます(*´ー`*)とってもうれしいです。頑張ります! (2020年2月3日 0時) (レス) id: 9a07434cd3 (このIDを非表示/違反報告)
あや - 今回の作品もさっそくハマりました笑 モモナさんの文才というか、なんというか、本当に尊敬します(え) モモナさんの書く安室さんや夢主ちゃんが好きです(*^^*) 更新大変だとは思いますが、頑張ってください! (2020年2月2日 18時) (レス) id: 95154b8388 (このIDを非表示/違反報告)
モモナ(プロフ) - 焼き鳥さん» コメントありがとうございます。新作ということで、不安もありますがもっと楽しんでいただけるよう頑張りますね! (2020年2月2日 16時) (レス) id: 9a07434cd3 (このIDを非表示/違反報告)

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:モモナ | 作成日時:2020年2月2日 13時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。