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Episode03.アナーキーの渇き ページ3

黒のベネチアンマスクを装着した男性にエスコートされ、高級ホテルの最上階に行くと夜風がチリッと私の頰を撫でながら屋外パーティー会場が目の前に広がった。
ストリングライトが会場を囲み、プールが青や紫、ピンク色にライトアップされ、アンティーク調の高級ソファが距離を置いていくつか置いてある。
周囲を見ればただのパーティーのような気もするが…

「ねぇ、貴女、見ない顔だけど?」
「…ソジュの紹介で来ました」

フワッと鼻腔をくすぐった甘い甘い匂いに包まれているブロンドヘアのグラマラスな女性が私の肩をそっと抱いたので、女性なのにドキリと心臓が高鳴った。
須崎さんから説明を受けていた“ベルモット”はこの方で、ソジュという私の他に潜入している公安調査庁所属の男性の名前を伝える。

「へぇ、ソジュがこんな可愛らしい子と知り合いだったなんて…隅におけないわね。それならジンの所へ案内するわ」

“ジン”と聞いて一気に恐怖心が駆り立てられた。
須崎さんから説明を受けていた“一番気をつける人物”で、黒の組織の幹部で死んだ魚のような目をして冷徹な男だと。
お願いします、と頭を下げて、彼女の後ろを歩く。

「それにしても本当に可愛らしいわね。初心で、人の事殺せなさそうな可愛い子」

途中でベルモットさんは私の顔を褒めているわけでは無い、これは嫌味だと気付いた。
まさか疑われてる__そう思ったが、顔には出さずに「思想の憧れです。憧れは必要な忠誠心で、生死のことはまだよく分かりません」と笑顔を作る。
素直だと彼女は言い、何が可笑しいのかふふっと鼻で笑った。

「ジン、新人がいたから連れてきたわ。挨拶したいそうよ」
「女か」

ジンと呼ばれる男は一番奥のソファに足を組み、煙草を咥えて私を出迎えた。
その瞳はとても悲しげで寂しげで、荒んでいる。そのせいか、彼と目が合った瞬間、声すら出せない圧倒感…存在感が私を包んだ。
何かを言わなきゃ…と思い、必死に声を振り絞り、「はじめまして。よろしくお願いします」とお辞儀をした。

「…コードネームは?」
「まだ…ありません」
「まるで生まれたての子犬だな。ビクビクして、そんな俺が怖いか」

私の震える声が彼に伝わるのが、それが伝わったのが怖くて冷汗が出た。
ジンは立ち上がり私の目の前に来て、手首をグッと握り、爪を食い込ませるので顔をしかめる。
後ろからベルモットさんがジンをなだめる声が聞こえたけれどジンは不気味に笑って

「お前にピッタリのコードネームはなんだろうな」

と耳元で囁かれた時、本能が逃げろと大声で叫んでいた。

Episode04.茨の道の入り口に→←Episode02.イノセントナイトの前奏曲



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設定タグ:名探偵コナン , 降谷零 , 安室透   
作品ジャンル:アニメ
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モモナ(プロフ) - 富岡さん» コメントありがとうございます!お返事遅くなってしまい申し訳ないです…。低評価がついてもそれは一意見として受け止めておりますし、面白いと思っていただける方に向けて更新しているので気にしておりません。優しい心遣い、応援、ありがとうございます。頑張ります! (2020年2月11日 1時) (レス) id: 9a07434cd3 (このIDを非表示/違反報告)
富岡 - なんか低評価の荒らしがいるかもしれませんね・・・応援してるので頑張ってください! (2020年2月5日 17時) (レス) id: 6a73ff0034 (このIDを非表示/違反報告)
モモナ(プロフ) - あやさん» コメントありがとうございます!安室さんの言葉遣い?って結構難しくて本当に謎大き男です…笑。応援ありがとうございます(*´ー`*)とってもうれしいです。頑張ります! (2020年2月3日 0時) (レス) id: 9a07434cd3 (このIDを非表示/違反報告)
あや - 今回の作品もさっそくハマりました笑 モモナさんの文才というか、なんというか、本当に尊敬します(え) モモナさんの書く安室さんや夢主ちゃんが好きです(*^^*) 更新大変だとは思いますが、頑張ってください! (2020年2月2日 18時) (レス) id: 95154b8388 (このIDを非表示/違反報告)
モモナ(プロフ) - 焼き鳥さん» コメントありがとうございます。新作ということで、不安もありますがもっと楽しんでいただけるよう頑張りますね! (2020年2月2日 16時) (レス) id: 9a07434cd3 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:モモナ | 作成日時:2020年2月2日 13時

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