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Episode12.不実な男のレシピを ページ12

「抱いてもらっちゃってすみません」

ベッドに寝かされた私の上に覆いかぶさるように乗っている彼に、私は笑いながらそう言った。
降谷さんは「仕事ですから」と短くそう言ったのが最後、私の目尻から重力に従って涙がポロポロ溢れる。
ダメだ、泣いちゃダメ…そう思えば思うほど涙は溢れて、彼は大きくて細い手で私の涙を拭い、耳に顔を近づけた。

「今だけ愛させてください」

彼はそう小さく呟き、私の首筋に唇を押し付けた。
そんな台詞、ドラマでも漫画でも小説でも聞いたことがなくて少し可笑しい。
彼の指が私の身体を優しく触れていくのが、酷く興奮した。
けれど、虚しくて悲しくて胸の奥がギュッと掴まれたように苦しくなる。

「一応聞きたいんですが、初めてですか」
「…大学の時に一度だけ」

嘘をついた。
本当は一度もそんな経験なんてない…けれど、ここで初めてと言えなかった。
初めてだと言えば変な気を使われるかもしれない、彼に甘えっぱなしになるのが嫌だ。

「んッ…」

彼の指が私でも知らないそこを刺激した時、羞恥心なんかよりも嫌悪感よりも、高揚感を覚えている自分がいた。
こんな私__自分でも知らない…。

「いくらでも強く握ってください」

頃合いを見て指を抜くと、彼はそう言って右手を握る。
私が初めてだという事を彼にはやはり見透かされていたようだと思っていた瞬間、私の嬌声と共に脳内に電流が走ったように初めての感覚に襲われた。
彼の左の手背に、私の右手の指が深くめり込んでいくのがわかったけれど、その力を緩めることができない。

「愛してる___A」

快楽の波に襲われ続ける私に、彼は耳下で小さく私に聞こえるように呟く。
ベッドの軋む音と、嬌声と、彼の甘い吐息と、寂しい空間がそこにはあった。

Episode13.雨の中、君と→←Episode11.楽園のりんご、底に落ちる



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設定タグ:名探偵コナン , 降谷零 , 安室透   
作品ジャンル:アニメ
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モモナ(プロフ) - 富岡さん» コメントありがとうございます!お返事遅くなってしまい申し訳ないです…。低評価がついてもそれは一意見として受け止めておりますし、面白いと思っていただける方に向けて更新しているので気にしておりません。優しい心遣い、応援、ありがとうございます。頑張ります! (2020年2月11日 1時) (レス) id: 9a07434cd3 (このIDを非表示/違反報告)
富岡 - なんか低評価の荒らしがいるかもしれませんね・・・応援してるので頑張ってください! (2020年2月5日 17時) (レス) id: 6a73ff0034 (このIDを非表示/違反報告)
モモナ(プロフ) - あやさん» コメントありがとうございます!安室さんの言葉遣い?って結構難しくて本当に謎大き男です…笑。応援ありがとうございます(*´ー`*)とってもうれしいです。頑張ります! (2020年2月3日 0時) (レス) id: 9a07434cd3 (このIDを非表示/違反報告)
あや - 今回の作品もさっそくハマりました笑 モモナさんの文才というか、なんというか、本当に尊敬します(え) モモナさんの書く安室さんや夢主ちゃんが好きです(*^^*) 更新大変だとは思いますが、頑張ってください! (2020年2月2日 18時) (レス) id: 95154b8388 (このIDを非表示/違反報告)
モモナ(プロフ) - 焼き鳥さん» コメントありがとうございます。新作ということで、不安もありますがもっと楽しんでいただけるよう頑張りますね! (2020年2月2日 16時) (レス) id: 9a07434cd3 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:モモナ | 作成日時:2020年2月2日 13時

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