【降谷零】それならいっそ愛しながら壊してよ【名探偵コナン】

Episode01．Untitle. ページ1

「公安調査庁へようこそ。それでは貴方達の仕事の説明を簡単に行います。担当してもらう調査や対象、内容については後に発表します」

新卒のリクルートスーツを着た私を入れて四名の男女がパイプ椅子に座らされ、目の前の渡辺 鈴子(Watanabe Suzuko)と名乗る上席調査官が初出勤早々、淡々な声で簡単な業務の説明をファイルを見ながら説明をするのを粛々と聞いていた。

「公安調査庁は国家の安全を脅かす団体や人物についての情報を集める機関。そして、法務省の下に置かれています。ここまでは貴方達もインターン等で散々説明を受けていると思います」

少し座り直せばギィ…と音が鳴るパイプ椅子ができるだけ鳴らないように我慢しながら、ゆっくり身体を動かして緊張で固まっている身体をほぐす。
無機質な白の部屋に、机まで白いのだから、照明と合間って少し目がチカチカする。

「これから貴方達が配属される調査場所の主任捜査官が迎えに来るので詳しい事はその方達に聞いてください。私が伝えられるのは、貴方達の行動で日本が変わるということを念頭に置いておきなさい、ということです」

ベージュのスーツをシワ一つなく着用し、ビッチリとワックスをつけてまとめた団子の髪型が彼女の真面目な性格を物語っている。
そんな彼女から発せられる言葉が重たく胸に刺さった。

「日本を良くするも危うくするも、貴方達の仕事の姿勢が関わってきます。いいですか、この仕事に誇りを持ちなさい。その気持ちを忘れないように」
「はい」

私達が声を揃えて彼女の言葉に頷いた時、ノックが三回聴こえて渡辺さんが返事をするとスーツ姿の男性が四人入ってきた。
渡辺さんが新入社員の名前を呼び、どの主任捜査官について行けばいいのかを教えてくれる。
私が指示されたのは、四人の主任捜査官で一番身長が高くて、強面の方だった。

「AAです！よろしくお願いします」

お辞儀をすると彼は短く返事をして、早々に無機質な白い部屋から出るので後ろをついて行く。
怖い人なのかな…と怖気付いていると、Room34とネームプレートに彫られている部屋のドアを開けて入る。
すると、クルッとこちらを向き、大きな手で両肩をガシッと掴まれた。

「いい！お前、いいよ！こういう人材が欲しかったんだよ！」
「…へ？」

彼は先程のような対応とは打って変わり、私の身体を舐めるように下から上をゆっくりと見る。
主任捜査官の名前は須崎 景吾(Suzaki Keigo)と言って、鼻歌を歌いながら椅子に座り、私も座るよう指示された。

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