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素直と隠し事(2ページ) ページ3

「マスター、いつもの」
「誰がマスターだ」


ウェイター姿の桃矢にカウンターからふざけた調子で声をかけると、桃矢からはもれなく鋭いツッコミが返ってきた。ここは水族館の中のカフェでウェイター姿の桃矢はバイト、私は客としてきていた。


「シスコンもここまで酷いとは…。さくらちゃん達のデートぐらいどこにでもさせてあげたらいいのに」
「ユキの提案だ」


今度はサラリとかわした桃矢。勉強会があった直ぐ後、雪兎とさくらちゃんがデートをする約束を知りここを提案したのが雪兎だったが、私からすれば桃矢に気をつかわせたようなものだ。



でも、さくらちゃんは顔に出るくらい雪兎のことが好きなのは分かるけど雪兎は小学生のさくらちゃんのことどう思ってるんだろう?



カウンターから後ろの方を振り返ると水槽から近い席で向かい合わせに座っている雪兎とさくらちゃんに視線を移した。そこへ桃矢も移動し知らされてなかったさくらちゃんと笑顔の雪兎が瞳に映る。


このまま私まで居座ればデートの邪魔になるしドリンクがなくなったら帰ろう、そう思った時だった。



ピシッ!



「!」


水槽の方から音がすると次の瞬間水槽のガラスが割れそこから水が溢れ出てきた。


「ユキ、さくら、A!!」


向こうで桃矢の声が聞こえたが、水はあっという間に私達の体を飲み込んだ。急いで何かに掴まり顔を水から覗かせて噎せていると桃矢がすかさず階段の方へ引き上げてくれた。


それから、雪兎が水中を泳ぎ消火栓から斧を取り出してそれで扉を破壊したことにより水が引いていくと、さくらちゃんも雪兎も他のみんなも無事に助かったのだった…。

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作者名:紫亜 | 作成日時:2019年11月17日 23時

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