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素直と隠し事 ページ2

「ペンギンの水槽に渦?」


創立記念日の今日、桃矢のバイト先の水族館でペンギンの水槽に突然渦のようなものが発生したと桃矢は言った。ペンギンの餌やりに偶然来た桃矢がそれを撃退し、渦に巻き込まれた女性従業員とペンギンは無事に済んだという。


「何はともあれみんな無事で良かったね。ねっ、雪兎」
「うん、桃矢がいてくれたおかげだね」


隣で共に歩む同級生の雪兎に振ると雪兎は満面の笑みを浮かべた。無愛想な桃矢と比べて彼の天使のような微笑みに心の底から癒される。桃矢がモテる理由はイマイチよく分からないけど、雪兎は分かる。


「お前、今余計なこと考えてただろ」
「え!?そ、そんなことないよ」


怪しげに間近で顔を覗かれて焦る。考えていることが顔に出てたみたいだ。そんな私達を見て雪兎は笑っている。それを見て私もつられて笑ったのだった。


「「お邪魔します」」


私達は向かっていた桃矢の家に着いた。今日は創立記念日で学校が休みの為、昼過ぎから三人で桃矢の家で勉強会をすることにしていた。桃矢は私達を置いてさっさと中へ入っていくとリビングの方で妹のさくらちゃんと何やらもめる声が聞こえてきた。


「桃矢ってばまたさくらちゃんに意地悪してるな」
「えっ」


すると、靴を脱いでいた雪兎の靴ヒモが突然切れた。


「靴ヒモ切れちゃった…」
「大丈夫。私、ちょうどいいもの持ってきてるから」


そう言ってカバンから安全ピンを取り出すと、雪兎の切れた靴ヒモと靴ヒモを安全ピンで止め応急措置をした。


「でも、後でちゃんと新しいのを結んでね」
「ありがとう、A」


そうやって雪兎とお互い笑い合っていると、なかなか上がってこない私達を不振に思った桃矢がリビングの方から声をかけてきた。


私と雪兎は返事をしてそちらへと向かい、さくらちゃんに挨拶をすると勉強会を始めたのだった。

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作者名:紫亜 | 作成日時:2019年11月17日 23時

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