剣持警部の殺人（6page） ページ10
「正野さん！私が毒島くんを抑えておきますので、その内に明智警視に連絡を…！」
「わ、分かった！」
正野さんが私に毒島くんを託し、直ぐに明智警視に連絡を入れる。
先ほど明智警視と連絡を取ったばかりだが、一刻を争う。
毒島くんは変なメールが届いたと言った。
もしかしたら、事件を進展させる内容かもしれない。
捜査をしている明智警視に見てもらう必要があると考えたのだ。
「毒島！暴れるな！」
「離せよ、お前ら！！」
明智警視に連絡を入れ、こちらに来てもらうようお願いをした正野さんは通話を切ると再び私と共に毒島くんの体を抑えた。
明智警視は近くにいたということなので、直ぐにこちらに向かってくるという。
「どうしたんだ、一体」
すると、しばらくして明智警視と捜査の協力をしていたのか金田一くんと美雪ちゃんが駆けつけてきた。
毒島くんは明智警視を見るなり、剣持警部とグルになってメールを送りつけてきたんだろ！と責め立てる。
直ぐにメールの内容を明智警視に確認してもらうと、そこには脅迫めいた文章で毒島くんを追い詰める内容が書かれていた。
このメールを送ってきたのが剣持警部だと一方的に決めつけて更に暴れ出す毒島くん。
遂には正野さんと私を思いっきり振り払ってしまった。
「あっ…！」
その衝撃で病室の壁に背中を打ちつけた私からは鈍い痛みが走った。
思わず顔を歪めて背中に来る痛みに耐えていると、そんな私を見て動揺している毒島くんが視界に入る。
「毒島くん…っ」
異変に気付いた私が彼を呼ぶと、毒島くんは直ぐに我に返り扉の方へ一目散に走り出した。
病室を出ていった正野さんが慌てて毒島くんの後を追う。
「大丈夫ですか」
「すみません、私も直ぐに毒島くんを追います！」
明智警視が尻もちをついている私に手を差し伸べてくれたが、なんだか甘えてはいけない気がしてその手は取らず毒島くんと正野さんの後を追った。
毒島くんも取り押さえることもできないで、明智警視と肩を並べて捜査ができるなんて思うな！と、まるで自分に喝を入れるみたいに…。
それにしても…さっきの毒島くんの反応が気になる。
私を振り払って壁に叩きつけられた際に、苦しむ私の顔を見て誰かと重ねて見ているような感じだった。
それが誰かは分からないけれど、気になってしょうがない。
それに、直ぐに見つけ出さなければ…。
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作者名：紫亜 | 作成日時：2024年3月24日 2時
