剣持警部の殺人（4page） ページ8
「毒島くんだったよね。ちょーといいかしら」
「な…なんなんだよ、女刑事さん…」
辛気臭い雰囲気を自ら断ち切り、自ら毒島くんの病室に突入してみた私は上から目線で彼に話しかけた。
明らかに戸惑っている彼を見て優越感に浸ると、今度は威張ってみせる。
「あなたのその耳の怪我、剣持警部にやられたと言ってるみたいだけど、剣持警部がそんなことするわけないでしょ。知ってること全部吐きなさいよね！」
「一体なんなんだよ、やたら近いんだよ…！」
目の前でガンをつけて言ってやったら、女子には免疫がないのか少し頬を赤く染め上げた毒島くん。
体格が良く、柄が悪く見えるせいか横暴なイメージがあったけど、似合わない反応ね…。
「あれ？耳のガーゼが取れかけてるよ」
「え？あ…本当だ。これ、直ぐ取れるんだよな」
私に言われて怪我をした耳に当てているガーゼが取れかけてるのに気付いた毒島くんは、そう呟いて一気に外した。
「待って、看護師さんに言って替えを持ってくるから。絶対、この部屋から出たらダメよ」
「分かってるよ。早く行ってくれ」
私の忠告に相変わらず生意気な態度で言ってくるので思わずムッとするが、病室を後にする。
外で警備をしていた正野さんにナースステーションへ行ってくることを告げて、替えのガーゼとテープを借りてきた。
「じ、自分でやる！」
「いいから、動かないで。これでも私器用な方なんだから」
借りてきたガーゼにテープを付けて毒島くんの怪我をしている耳に当てると、傷口に触れてしまったのか顔を歪める。
「ごめん！痛かった？」
「別に、これくらい…」
「そう、それなら良かった。これでもう剥がれないわよ」
そう言って笑うと、なぜか私の顔を見て驚く毒島くん。
まるで信じられないものを見ているかのようだ。
「私の顔に何かついてる？」
「いや…なんでもない…」
顔をさする私を見て我に返った毒島くんは急に元気を無くしてしまった。
一体どうしたというんだろうか…。
「君さぁ、聞いた話とは随分違う性格してるよねぇ。ちょっと頼りなさげというか…」
「アンタこそ、見た目とは違ってポンコツそうだよな」
「は…はぁ！？私が1番気にしてることを…！」
今にも毒島くんに食ってかかりそうな勢いで思わずムキになると、不意に私の携帯が鳴り出す。
剣持警部の殺人（5page）→←剣持警部の殺人（3page）
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 4人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：紫亜 | 作成日時：2024年3月24日 2時
