剣持警部の殺人（10page） ページ14
しかし、毒島くんは一切犯行を認めようとはしなかった。
だが、それが墓穴を掘る形となる。
毒島くんは首を吊る前、誰かに襲われたかのように演じるため110番通報してきたそうだが、その時録音したメッセージが明らかに矛盾していると金田一くんは言う。
「Aさんも毒島の行方をその時探していたから、かつての毒島の仲間である多間木が焼死で亡くなったなんて知らないよね」
「え…ええ、魚崎くんだけで玉木くんの方は今金田一くんから知ったわ…」
なんと、3年前の加害者の3人の内の1人、多間木匠が焼死で亡くなったことを今知る。
私が知らされていたのは魚崎の殺害だけだ。
眠っている間に、どうやらもう1人も毒島くんによって殺害されてしまったようだ。
「そう、今回の事件はまだニュースにもなっていない上に警察内部でも知らない刑事がいるのに、行方をくらませていた毒島は玉木の死を知っていた。玉木が焼死で亡くなった不動高校の現場か近くにいない限り、この情報は分からないことなんだ」
毒島くんが110番通報し、その時に録音されていたメッセージには彼らのように殺されると訴えかけてきたらしい。
しかし、魚崎の死しか知らない毒島くんが「彼ら」と多間木の死を匂わす発言をしていることは明らかに不自然だ。
金田一くんは最初の魚崎の死も彼が携帯から彼の携帯にかけたことによって溺死されたことを明らかにしていく。
カンキンした剣持警部のスーツを借りて変装し、刃物で魚崎を脅してホテルの浴室に連れ込んだという。
これは防犯カメラに写っていて事実だった。
魚崎は剣持警部に扮した毒島くんによって体をテープで縛られると、水が流れる浴槽に仰向けにして入れられる。
魚崎の携帯を栓の紐に括り付け、側に置けばあとは誰かが魚崎に着信を入れると、その反動で栓が閉じ、浴槽が浸かり始めて魚崎の体はみるみる内に浸かっていく。
魚崎が溺死したのは、まさにこのトリックを毒島くんが使ったからだった。
明智警視と金田一くんの目の前で魚崎に電話をかけ、大胆不敵なトリックでかつての仲間である2人を殺害したのだ。
すると今度は、突然加害者の弁護士を務めていた湖森弁護士が殺人を犯した毒島くんに謝り出したではないか。
毒島くんから受け取った手紙を処分してしまったと、突然打ち明けたのだ。
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作者名：紫亜 | 作成日時：2024年3月24日 2時
