剣持警部の殺人（9page） ページ13
襲われたこの場所は剣持警部の病室の前。
毒島くんが襲われたのなら、剣持警部の病室の前は明らかにおかしい。
それを指摘され、動揺を見せる毒島くんに金田一くんは更に追い詰めていく。
全ては毒島くん自身が起こしていたこと、剣持警部がやったかのように見せかけてかつての仲間を次々と殺害していったのは、毒島くんだと明言したのだ。
襲われているフリをして命懸けの芝居を演じていたという彼にこれからそのトリックを明かすため、とあるビルの一室に私たちは移動する。
「この部屋の前でAさんは倒れていたんだ。その時は、部屋は鍵がかかっていて中は密室だった」
「私がここで…」
移動してきた際に金田一くんが現場となったビルの一室の前でそう言った。
今は検証などで解き放たれている部屋に続いて入っていく。
当時は管理人にお願いをして鍵を開けてもらい中へ入ろうとしたが、ソファーが置かれていて中に中々入れなかったそうだ。
何人かで一斉に扉に体を打ちつけて何とか中へ入ることができたそうだが、そこで目の当たりにしたのが毒島くんが首を吊って死にかけていたという。
しかし、それは自作自演だということを金田一くんは明かしていく。
問題なのは当時踏み台がなかったため、誰かが毒島くんを襲ったかのようにしていたらしいが、首を吊っていた下には黒く長いカーペットが敷かれていたそうだ。
金田一くんはそれをクルクルと最後まで回していくと、およそ30センチの踏み台ができて乗ってみせる。
毒島くんが首を吊る際、その丸くなったカーペットを踏み台にすることによって、その弾みでカーペットは再び普通のカーペットに戻るという仕組みだ。
自分で首を吊ることが可能だったことを金田一くんによって立証されると、毒島くんは焦り始める。
剣持警部は終始、毒島くんが犯人であることに驚きを隠せずにいた。
無理もない、3年前の主犯格がまさか仲間を殺していたなんて…。
ここからはまだ憶測だが、おそらく毒島くんは喫茶店で呼び出した剣持警部に会うと、そこで水に睡眠薬を入れて彼を眠らせた。
その後、この部屋にカンキンしたと思われる。
それから剣持警部から奪った銃で自ら耳と肩に発砲。
あの発砲事件は、毒島くんが自ら起こしたものだと明智警視が推理した。
あたかも剣持警部に襲われたと思わせるために…。
剣持警部の殺人（10page）→←剣持警部の殺人（8page）
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 4人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：紫亜 | 作成日時：2024年3月24日 2時
