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守りたいものの為に ページ20

「(ヘマをするなんて、ついてないな…)」


体育の授業で生徒達の見本をしていたら肩を思いっきり打ち付けてしまい念のため病院へ行くことをすすめられて私は外科を訪れていた。


「中へどうぞ」


診療室から声がかかり中へと入っていく。医療カーテンに隠れて先生の姿は見えなかったが、上着を脱ぐように指示されて下着だけを残しカーテンの向こうへおずおずと向かった。


「失礼しま…、!」
「今日はどうされたんですか?A先生」


カーテンの向こうを覗いて、見知った顔が見えて驚いた。1ヶ月前に教育実習を終え童守小学校を去っていった玉藻先生が何故かそこにいる。というか…、


「きゃあああ!なんでこんなところにまでいるんですか!!」
「なんでって、医者になったからですよ。当然でしょう」
「い、医者って…」


慌ててカーテンの後ろに戻り顔だけ覗かせる。玉藻先生はどうやらあの後小学校の先生にはならず医者に就いたようだった。


カルテを持ち当然のように椅子に座ってるけど忘れてはならない。相手は妖怪だ。


「他の先生に診てもらいます…っ」
「他の外科の先生は出払っていて不在です。今日の午後の診察は私だけですよ。肩を痛めたんですか?」


サラリとかわしカルテを見詰めて本題へと移る玉藻先生。カーテン裏で一人嘆いていると、こちらへ歩み寄る足音が聞こえてきてハッとなる。


「わあわあわあ…!」
「そのまま後ろを向いていて構わないですから診せてください」


恥ずかしさでいっぱいだったが下着の前に腕を回し玉藻先生に背後を向けたままとりあえずジッと堪える。玉藻先生は私の肩に触れ痛みがどの程度か私から聞くと再びデスクへと戻っていった。


「このまま何もなければ大丈夫です。様子を見ましょう。この後はお時間あるんですか?」
「…へ?いきなりなんですか…(まさか…)」


カーテン裏でせっせと着替えを済ます私に診断結果以外に話題を振ってきた玉藻先生。さっさといなくなろうとしたが嫌な予感が先に働く。


「言ったでしょう。貴女を守るって。それで貴女との信頼関係を得て私は更に力を得る。
鵺野先生の力の源を知る為にも、ね。貴女の協力が必要なんですよ」
「………」


予感は的中し、私は急に冷静さを取り戻した。やはり玉藻先生は妖怪だ、と…そう思った。

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作者名:紫亜 | 作成日時:2019年10月12日 22時

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