ファビアン.2 ページ4
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フ「初めは、罠だと思った
別の海賊のスパイか、はたまた盗賊か
あの夜は俺はただ見張りをしていて
まだ下っ端だったから、どうすればいいかすら
分からなかった
そう、俺の言ってる " 初め " は、船に入ってきた
あの日の事じゃない
月明かりに照らされて、まだ俺が呪われていた
何年も前のあの夜の話だ
投獄されてから、君の正体を知って
余計にAという人物が分からなくなった
ももかなのか、Aなのか
本当はそのどれでもないのか
でも、そんな事がどうでも良くなるくらい
君を好きになった
だから、あの時死んだことを後悔してない
強いて言うなら君を守れなかったことと
トリックに先を越されたことが後悔かな
そんな気持ちも君のことも全部忘れていたのに
数日前に、何もかも思い出したのには理由がある
俺からの約束の印、まだ持ってるよね」
私は、何も言わずにコルセットの下から
ハンカチを広げて出した
フ「俺のハンカチ…君にあげた俺の心
捨てずに待っててくれて嬉しかった
君がこの間、夜に甲板で泣いていた時
なんで声をかけたらいいか分からなくて
ただ、その姿を見ていたんだ
そしたら、胸が苦しくなって
何故か無性に抱きしめたくなった
よくしらない相手にそんなの、おかしいと思った
でも、次の瞬間
君がコルセットの下から俺のハンカチを出した
涙を拭った、その瞬間に
何もかも、過去も気持ちも全部
思い出したんだ」
「ファビアン…」
フ「まだ、待って続きがあるんだ」
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作者名:シトロン | 作成日時:2019年11月3日 17時