イノオシェルター (ページ24)

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来客とプリンページ24

伊野尾side

薮も山田もいない昼下がり、高木がやって来た。中島という見知らぬ顔には動揺したが、手土産のセンスはなかなか良い。久しぶりの訪問客にウキウキ。
いそいそと準備を整え、期待通りの美味しいプリンに舌鼓を打っていると、高木が取り調べの時のことを話しだした。

高「改めて、先日はありがとう。おかげで犯人を逮捕することができたよ。
あっ、それからこの写真、使わなかったから返すね。」

高木は、あの日切り札として山田に託した２枚の写真を渡してきた。

高「奥さん、旦那さんは紗央里に娘の姿を重ねてるんじゃないかって気づいていたよ。伊野尾くんもそう思ったから、この写真を用意したんでしょ？まあ、だいぶ被害者の娘に寄せてるけど。笑」

伊「被害者から紗央里に接触したってことは、紗央里を選んだ理由が必ずあるはずだ。それが何なのか、パパ活アプリのプロフィール写真を見て気づいただけだよ。」

高「それにしても、今回の取り調べはヒヤヒヤしたよ。何にも確証がないんだから。急いでたのは、君家紗央里のため？」

伊「彼女を取り調べてるのが鬼塚だって聞いた。あんな強面の刑事に連日凄まれたら、やってもいない罪を認めてしまうかもしれない。
彼女が追い詰められる前に真犯人を見つけないといけなかった。」

冤罪をつくることは警察官にとって重罪だ。指紋ひとつで犯人だと決めつけ、ろくに調べもしないで人を脅すような取り調べで自供を引き出す、そんなやり方が許されていいはずがない。思わず、スプーンを持つ手が怒りで震える。

中「日下弥生が自白したって言われた時の鬼塚さんの顔、伊野尾警部補にも見せたかったです。」

高「薮くんが強引に段取った取り調べだったからね。伊野尾くんが一枚噛んでることはわかってたから、すんごい悔しそうな顔してたよ。」

伊「しっかり捜査しないのがいけないんだろ。冤罪が生まれるのを阻止してやったんだ、むしろ鬼塚には感謝されても良いくらいだ！」

あー、あいつの顔思い出したら、プリンが不味くなった。
不機嫌そうにプリンを食べる俺を見て、高木が話題を変えた。

高「そういえば、新しく入った山田くんとはどうなの？」

中「山田が嫌われてるのかも～って悩んでましたよ。」

伊「別に…。フツー」