イノオシェルター (ページ3)

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弱点は耳ページ3

山田side

その後ろでは伊野尾警部補が、「感じ悪いってなんだ！」とか「こんなんでもってどういうことだ！」とか「俺が上司で嫌ってなんだよ！」
とか、薮警視の言葉にいちいち噛みついていた。

薮警視もこんな部下をもって大変だな～、なんか同情してきた…

山「俺なんかで務まるかわかりませんが、精一杯やらせていただきます。」

薮「ありがとう～困ったことがあったら、なんでも相談してくれて良いから。」

高「はい。こちらこそ、よろしくお願いします。」

すると、薮警視が良いこと教えてあげる♪と、俺の耳元に口を寄せてきて、「伊野尾の弱点は耳」と囁かれた。
俺が戸惑っていると、

伊「おい！薮、なにか余計なこと言ってんじゃないだろうな？」

薮「別に・・・何も？」

伊「～～っ、とにかく！俺にこいつは必要ない！今まで通り、ひとりで十分だ。
　さっさと連れて帰れ！」

またしても、厄介払いされてしまった。
どうしていいかわからず薮警視を見れば、パチッと俺にウインクをしてきた。
ん？と首をひねると、今度は耳を指さしている。
ああ！さっき言ってた弱点！でも、どうすれば・・・？

ええい！悩んでてもしょうがない、このままじゃ本当に追い出されてしまう…
物は試し！とりあえず、やってみよう！

俺はそっと伊野尾警部補に歩み寄った。
俺が近寄ってきたことに伊野尾警部補は動揺し、２、３歩あとずさる。

伊「な、なんだよ・・・」

俺は伊野尾警部補の横のデスクに手をつき、そのまま耳元に口を寄せて囁いた。

山「今日からよろしくお願いしますね、伊野尾警部補。素晴らしいご指導、期待してます。」

伊「っ！！」

体勢を戻して伊野尾警部補の顔を見ると、顔を真っ赤にして微かに震えている。
キッと睨まれたが、目は潤んでるし、まったく怖くない笑
そんな俺たちの様子を見てか、薮警視は「それじゃあ、よろしくね～」と言って部屋を去っていった。
チラッと伊野尾警部補を見ると、悔しそうな顔で薮警視が出て行ったドアを睨みつけていた。

結局その日はそれ以降、一言も話してもらえなかった。。。
初日からさっそく嫌われたな～