感じ悪い上司 ページ2
山田side
間延びした声とともにやって来たその人を見た瞬間、俺はハッと息をのんだ。
髪は栗色でふわっとしたマッシュルームカット。顔の輪郭は丸く、ぷっくりとした唇。
肌は色白で、体格も細身で頼りない。
カッターシャツの腕まくりした袖から伸びる腕は、簡単に折れてしまいそうだ。
左目は眼帯で隠れているが、それでも十分整った顔だということがわかる。
薮「・・・だ・・くん?・・・や、ま・・・ん?・・・やまだくん!!」
山「っ!!!は、はいっ!!!」
薮「大丈夫か?」
山「す、みません・・・大丈夫です・・・」
ついその人に見入ってしまっていて、自分の名前が呼ばれていることに気がつかなかった。
いけない、きちんと挨拶をしなければ。俺は敬礼をし、再度大きな声で挨拶をした。
山「本日より捜査一課に配属になりました山田涼介です。精一杯がんばりますので、
ご指導のほど宜しくお願い致します!」
伊「……さっきのバカでかい自己紹介も聞こえてたから、知ってる」
山「あ、すみません。。。」
感じわるっ!そこは薮警視みたく「よろしく〜」っていうところだろっ!
薮「おい、伊野尾!もう少し愛想よく…」
伊「薮、こいつの役職は?」
薮「…?巡査だけど。」
伊「巡査?!そんな役立たず俺のところに寄越して、お前一体どういうつもりだよ!
俺に新米刑事のおもりしろってか?冗談じゃない!お前が外の情報を伝えてくれるやつがいた方がいいだろって言うから……。
足手まといを押し付けられるんだったら、そんなやついらない!今まで通り……」
山「役立たずかどうか、一緒に仕事もしてないのにわからないだろ!あんたがどんな役職かは知らないが、人を役職だけで判断するなんて、警察官としての洞察力は底辺みたいだな!」
伊「なんだと・・・っ!」
薮「まあまあ、落ち着いて2人とも」
捲し立てる伊野尾さんと俺を宥めて、薮警視は俺に穏やかに言った。
薮「改めてこの感じ悪いやつが、伊野尾だ。役職はこんなんでも警部補。
伊野尾は訳あって、この部屋から出られないんだ。だから山田くんには、事件現場の状況や捜査会議の内容を伊野尾に伝える、言わば捜査本部とこの部屋の橋渡し役をしてもらいたい。あんなのが上司になって嫌だとは思うけど、何とかお願いできないかな?」
薮警視はすまなそうな顔で俺に切願してきた。
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作者名:五番地の引きこもり | 作成日時:2020年3月5日 19時