暗殺者の失敗【wrwrd】 (ページ20)

今日:1 hit、昨日:24 hit、合計:67,161 hit

18 ページ20

貴方side

大先生が立ち去っても尚、心の中は纏まらなかった

どうしようかと思い、ぼーっとしていると後ろから

ふわりと良い香りが鼻を擽る

『…エーミール』

em「今、お時間あります？」

『あるが…』

em「もしよければ中庭、見に来ませんか？貴方に見てほしいんです」

『あぁ』

そう返答をして今度はエーミールの後についていった

────────────────
────────
─────

中庭へ行く道すがらも他愛のない話を幾つも聞いた

彼ら幹部の仲やここにいる動物…

話が一区切りついたところで俺が口を開いた

『お前も方言を使うんだな』

em「え、ええそうですけど…何故それを？」

『語尾のイントネーションとか上がり方までは隠すのは難しいからな』

em「やっぱりか～中々難しいねんな…というかよく聞いてはりますね」

『元の仕事柄、気にしやすいだけだ』

em「それだけじゃないと思いますよ、私は」

『…どういう意味だ』

em「貴方が私達へ興味の意を広げたのが少なからずあるかと。」

にこりと自然な笑みでそう言われる

『私が…貴方達に…？』

em「ほら、口調もだいぶ崩れたと思いますよ」

『………』

駄目だ

もう心は一色に決まった

この国の為に命を尽くすという色に。

あの総統に従事する色に。

『…エーミール。私は…まだ遅くはないんだよね？』

久しぶりに出した高めの地声が中庭で風に乗せられて辺りに響く

em「大丈夫です。貴方なら道へ帰れます。…勿論自分の色を取り戻す事も」

その言葉に驚いて目を少し見開く

『何で私の考えを…』

em「さァ…」

さらりと風がエーミールの髪を撫で、揺らす

em「何故でしょう」

-*- -*- -*- -*- -*- -*- -*- -*--*- -*- -*- -*- -*-