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貴方side
私が彼にできること
顔を少し上げると紫がかった手でワインをまた飲むジョーとぱちりと目が合う
私があの時、初めて一目惚れをしたあの瞳
暗く濁っているようで芯のある、あの瞳
そういえばさっき彼は他のリクルーターを"あいつら"と言っていた
まるでその中に自分がいないかのような吹き回しだ
ならば…
『…これでいい？』
エイトフット「おう。交渉成立だ。…よし！んじゃお前の望みを聞いてやろう」
少し前のめり気味になり、ニヤつきながら此方を見てくる
『ジョー…私ね、貴方の事が好きなの』
エイトフット「…」
押しつぶされそうなほど圧迫感のある空気に対抗しながら更に続ける
『初めて会ったあの時からずっとずっと…貴方の事を好いていたの。だからジョー』
すっと顔を上げ、彼と目を合わせてにこりと笑う
『嘘でもいい。嘘でもいいから別れる時は"また来年"って言って』
エイトフット「っ…」
今度はジョーが驚いて黙る番だった
泣きそうになるのをぐっと抑えて言葉を吐き出す
『例え、今回が最後になってもいい。私も再来年はどうなるか分からないから。だから空虚な嘘でも構わない。私とｯ…来年会おうって約束して…』
お願い
消え入るようにそう言い切ると溜まっていた涙がさらさらと目から流れていく
怖いほどの沈黙が続き、ようやく彼の口が開かれた
エイトフット「……あぁ、言ってやる。そんで絶対守ってやる、…Aとのその約束を。」
だから
エイトフット「もう泣くな。大切なやつが目の前で苦しんでる姿は見たくねぇ」
『ジョーっ…！！』
ばっと顔を上げると有無言わずに彼が抱き寄せる
エイトフット「誰もお前を一人にしない。俺もお前の傍にいてやる。マルフィやアップル、他の皆もだ」
あぁ、そうか
そうだったのか
悪役も夢を見ていいんだ
恋をしていいんだ
寂しがったっていいんだ
支え会えるんだ、私達も。
そんなにひ弱で孤独な人達じゃなかったんだ
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そると(プロフ) - 机の上の靴さん» コメントありがとうございます！そう言って貰えるのが何よりも嬉しいです！ありがとうございます！ (2020年5月14日 9時) (
レス) id: 018c79fc19 (このIDを非表示/違反報告)
机の上の靴(プロフ) - すごく面白いかったです！最高の作品をありがとうございました！！ (2020年5月6日 9時) (レス) id: da06bfb863 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：そると
| 作成日時：2019年1月12日 6時
