第16話 ページ20
今時計は短針で11時を指している。そんな夜中に、私は再び学校に来ていた。もちろんマスターの命令だ。
当たり前のことだが、夜なので非常に暗い。しかし、依頼の犯人は決まって夜にことを起こすそうなので、今行くしかない。
暗い空間には慣れているとはいえ、ここはまだ知ったばかりの場所。こんなに暗くては迷うことは確実だ。
「……誰もいないし、別にいいよね」
誰に聞くでもなく一人で呟く。
深く息を吸い、ゆっくりと瞳を閉じた。
「汝、光の象徴よ。雪の名の下に命ずる。異郷の地よ
りその姿を現し、闇を照らす光となれ! ウリエル!」
一瞬、目を開けていられないほど眩い光が校舎内を照らす。が、それは本当に刹那のことで、光は段々と弱まっていき淡い燐光となる。
瞼を持ち上げると、そこには一人の青年が微笑を浮かべて私を見ていた。しかし、この青年は人間ではない。
背中から生えた純白の翼、彼から放たれている淡い燐光が何よりの証拠だ。
「お久しぶりですね、雪様、リ ヴァイアサン」
「今はレヴィよ」
「ああ、そういえばあなたは雪様に名前をいただいて
るのでしたね。失礼しました、レヴィ」
それでいい、と言いたげにレヴィは笑った。
「で、今回はどういったご用件で?」
「懐中電灯代わりになりなさいよ」
懐中電灯代わり……まあ、その通りだけどもっとマシな言い方があるだろうに……。
「ごめんね……大した用じゃなくて」
「謝らないでください。召喚してくださっただけで喜ばし
いことなのですよ?」
「ま、そりゃそうでしょうね。私たち精霊や悪魔、天使の
類いは呼ばれないとこちらの世界に来れないもの」
ウリエルは天使だ。そしてレヴィはリ ヴァイアサンと呼ばれる海竜。本来なら精霊たちのいる『向こう側』にいる存在なのだが、私が呼び出したために人間界に来ている。
これが、私の能力。他の誰も持ち得ない、『召喚能力』。
通常、召喚というのは人間が出来るものではない。いや、出来るには出来るのだが、それ専用の魔法具が必要になるし、消費する魔力だって多い。
なので、自由に精霊たちをこちらの世界に呼び出せる人間は私だけなのだとか。
「明かりも手に入ったことだし、さっさと見回りすませま
しょう」
大口を開けて欠伸をするレヴィに同意しようとしたとき。
パリィィン!!
ガラスが砕け散る甲高い音が、校舎内に響いた。
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朱里(プロフ) - ナンシー・ハジェンズさん» アドバイスありがとうございます! 参考にさせていただきます!! (2013年8月26日 21時) (レス) id: 13f8c978a2 (このIDを非表示/違反報告)
ナンシー・ハジェンズ(プロフ) - 自由に描いてもらったら別に良いんだけど、まぁこんな意見もあるんだと思って見てくれたらと思います。ちょっと御拝読させてもらったんだけど、文章の構成に違和感があったかな。順序を入れ替えるだけでも大分違うし。推敲をもう少しやってみては? (2013年8月26日 19時) (レス) id: 61cd583815 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:朱里 | 作成日時:2013年8月24日 12時