ここが僕の帰るべき場所［桃］*

# 8-4 ページ38

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「...っす、まっすー、」

「んっ...？」

「まっすー、大丈夫？こんなとこで寝てたら風邪引いちゃうよ」




誰かに肩を揺すられたなと思ったら、仕事終わりの小山だった。気付いたら手越の横で寝てしまっていたらしい。




「あれっ... 小山、仕事終わり？」

「うん。今日は終わったよ。まっすーもずっといたの？お疲れ様。ありがとうね。代わるよ」

「ううん、今日はここにいる。手越が目覚めた時、そばにいたい」




そう言うと小山は何か言いたげに困った顔をした。そりゃそうだ。いつ目覚めるかなんて分かんないんだから。




「大丈夫。仕事はちゃんといく。睡眠も摂るから...」

「まっすー...」








それから俺はずっと、病院に行ったり来たり。仕事に行くのとお風呂やご飯を済ます以外、手越のそばにいた。




でも全然起きてくれなくて、かれこれ1週間ぐらい経った。




「手越は... なんで起きないんですか...っ！」




って先生を問いただしたら、




「呼吸や心臓機能が弱まっていた時間が長すぎて、意識障害が出ているんだと思います。目覚めても、脳に障害が残るかもしれません」




って言われた。








「まっすー」

「...えっ、シゲ」




その夜、久しぶりに聞いた声に振り返ったら小山がシゲを連れてきた。




なんとなくやつれた気がするけど、無事でよかった。




「シゲ... よかった、久しぶり...」

「うん、久しぶり... ごめん、俺...」

「ほら、手越待ってたよ、シゲのこと。こっち来て」




そう言うと少し照れくさそうに、シゲは手越の横に腰掛けた。




「今日は俺らもここにいるよ」



そう言ってくれた二人に、さっき先生から聞いた話を打ち明けるのは酷だった。




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