ここが僕の帰るべき場所［桃］*

# 5-2 ページ22

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仕事帰り、スーパーに寄る。




何か食べなきゃ。




そう思って物色を始めたけど、何が食べたいのかよく分からなかった。




「とりあえずこれでいっか...」




身体にあんまり良くないのは分かってたけど、料理を作る元気は残ってなかったからひとまずお弁当を買って帰る。








「いただきます...」




そう呟いてお箸を持ったけど、なぜか口に入れるのをためらってしまった。




また気持ち悪くなったらどうしよう。今日はまっすーだっていないから誰も助けてくれない。でも、食べなきゃ元気になれない。








「うっ... ｹﾞﾎｹﾞﾎｯ、」




ダメだった。なぜか分からないけど、身体が食べ物を受け付けてくれない。




「どうして...」




元々食べるのはそんなに好きなことでもなかった。人より食べるわけでもない。いつもお腹が空いたら食べて、お腹が空かなければ食べない。それが俺の食生活だった。




だからこんなに食べることを意識したのは初めてで、考えれば考えるほど食べ方が分からなくなった。








『手越、痩せすぎだよ』

『軽すぎる』

『骨だよ、骨！』




メンバーにも、スタッフさんにも、お医者さんにも、会うたび "痩せた" って言われる。それを思い出したら、食べなきゃいけない気持ちだけが焦る。




「はぁっ、うっ、... ﾊｧｯ、ﾊｧｯ、」




気づいたら呼吸がおかしくなってて、「落ち着け」って自分に言い聞かせる。




「俺、こんなに、弱かったっけ...」




いつも弱さを隠して生きてきたことが、ここに来て明確になっていく。それでも誰にも頼ろうとしない、頼る勇気がない。








そんな自分が、情けなくて仕方なかった。




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