後輩離れ ページ9
数分前
奥村「では、失礼します。」
A「また来てねー！」←奥村くんと初めて話せて嬉しかったあなた
A「それとさ…！」
奥村「何ですか？」
A「沢村くんのこと頼んだよ。
…今の私が言える立場じゃないんだけどね」
奥村「関係ないんじゃないですか？立場とか。
沢村先輩は今でもあなたのことを一投手として頼りにしています。」
A「そうかも知れないね…」
奥村「…！！」
ーーーーーーーー
沢村「松瀬さーん！」
A「初登板お疲れ様」
沢村「序盤に変えられちゃいました」
A「力んじゃった？それと…ヘッドスライディングしたんだって？」
沢村「なんでそれを！？」
A「礼ちゃんから聞いたよ 笑」
沢村「あー！恥ずかしい！本当なら完璧なピッチングの報告をするはずだったのに！」
A「エースとして初登板。色々気負いしてたんだと思うけど、不要な場面のヘッドスライディングは辞めた方がいい。指先怪我したらどうするの？」
沢村「松瀬さん…？」
ヘッドスライディングはきっと一生懸命した結果なんだと思う
「俺はエースになるためにここに来てるんだ！！
その気持ちだけは誰にも負ける気ねーっすから！」
あの日からずっと…
どんな試練も乗り越えて手に入れたエースの座
いつだって一生懸命で自分の成長を諦めなかった沢村くん
その姿勢に勇気を貰っていたのは私の方だった
今でも投手として頼ってくれることは嬉しい
だけど、いつまでもそれじゃ駄目なんだ
A「さ、帰った！帰った！」
沢村「え！？まだもう少し…」
A「今、きみは何をしないといけない？誰と話さなきゃいけない？私に慰めてもらいたくてここに来たの？」
沢村「違います！…俺はただ松瀬さんに投手としての…「ないよ」
A「きみに教えることはもうない」
ずっと考えてた
…この日のことを
ーーーーーーー
A「エースってのは、誰かに頼るんじゃなくチームにとって頼りになる存在でいないといけない。」
奥村「…！！」
どれだけ良いピッチングをしても
どれだけ一生懸命しても
届かないこともある
それは私も沢村くんも経験している
だからこそ…
もっと深く…
仲間と野球にも向き合って
野球を知り尽くしてほしい
1秒でも長く仲間と長い夏を過ごしてほしい
だから私はきみの背中を押す
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作者名：春春 | 作成日時：2021年9月29日 22時
