決勝戦前夜 ページ38
御幸「付き合うぜ？ピッチング」
少し意地悪な笑顔を見せて入ってきた
A「いいよ…別に」
御幸「まぁそんな遠慮すんなって」
いつの間にかミットを付けてネットの前に立った
A「ミットの型崩れだらどうするの…」
御幸「心配すんなってー！これ俺のじゃねぇ！笑」
A「はぁ！？(((；ﾟДﾟ)」
誰のだよ！？
ってか、いつそれをどこから持ちこんできた！？
言いたいことが山程ありすぎて言葉が出ない
御幸「験担ぎってやつ？
全国行き決めたヤツのボール受けたらご利益ありそーうじゃん♪」
また笑ってやがる
本当はそんなこと思ってないくせに
御幸「ま、言葉よりボールが語りかけてくることってあんだろ？」
そう言って真面目な顔をしてきた
そう言われたら投げるしかなくなる…
ﾊﾞﾝ…！
ﾊﾞﾝ…！
ﾊﾞﾝ…！
それから私たちは終始無言でピッチングをした
ﾊﾞｰﾝ！！！
御幸「よし終わり！
相変わらずいいボールだったぜ！」
そう言われて素直に嬉しい
少し早めに切り上げてくれたのは私への配慮
だけどね…
A「御幸、あと少しだけ…付き合って」
ﾊﾞﾝ…
ﾊﾞﾝ…
御幸「こうしてまたお前とキャッチボールするとわなー！」
あの頃のように野球ボールでキャッチボールをした
御幸「よし！終わり！」
A「え…まだ…「だーめ！」
御幸「病み上がりの肩なんだし、それに指先の感覚が変わったらどーすんだよ」
ちょっと小言を言われて
御幸「ってかさ、なんでマウンドに上がれることを言ってくれなかったんだよ」
少し拗ねた顔をした
A「報告する暇ないなって…」
甲子園に向けて必死になってる姿を見ると
こんなちっぽけな報告なんてって思えてきて
言い出せなかった
御幸「とか言ってー今日は待っててくれたんだろ？」
A「え…」
御幸「ちょうど俺もAと話したかったし」
A「自惚れないでよ…」
恥ずかしくて素直になれない
御幸「マネジャーに言われたんだよ
待ってるんじゃないって
それと…渡したいものあるんじゃないかって」
A「…！」
渡したいもの…
夏川「絶対喜んでくれるよー！」
梅宮「うん！うん！」
選抜前に渡してもらおうとマネジャーにお願いしたら、自分で渡した方がいいって言われて断られたんだ
それからずっと渡せずにいたお守り
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作者名：春春 | 作成日時：2021年9月29日 22時
