心得 ページ26
「わーーーーー!!!」
マウンドで喜ぶ藤川
あの夏の予選での負け...あの風景が目の前にあった
蘇るのは悔しさと申し訳なさ
ーーーーーーー
「大丈夫？」
誰かの声で目が覚めて
A「試合はｯ!?...私...最後打席任されて...私...」
最終回の打席、監督に送り出されて...
なんで私ここに...?
気づいたら病室にいた
ﾋﾟﾝ!!!
A「痛!」
麻実「落ち着いて」
お姉さんにデコピンされて我に帰った
全身はまだ痛くて
A「...試合は?」
夢で見た景色
もしかして...
市川「試合には勝ったよ!
...行けるよ、選抜!」
A「...良かった...良かった」
最後の打席の記憶がなくて
どんな形で試合が決まったのか覚えてない
A「すみません...最後の打席、点を取りきれなかったんですよね...
チーム貢献できず、足引っ張ってすみません」
市川 麻実「!!?...ｸｽｯ」
ふたりは顔を見合って笑った
市川「あんたが決めたんだよ！」
最後打席でベンチの歓声があったのは、なんとなく思い出して
そう言われると手の感触...
「「振り切れ!!!」」
沢山の声援の中から聞こえた懐かしい友の声
仕留めたであろう振り切ったコース
A「インコース...」
市川「そう!インコース!ホームラン打ったんだよ‼ほんと無茶するんだから
...本当にごめんね｡こんなボロボロなのに｡頼りなくてごめん」
涙いっぱいためたキャプテンの言葉に涙が溢れそうになった
麻実「右肋骨の骨折に扁桃腺炎、貧血に寝不足
それに...ご飯食べてないでしょ?あんたを運んでくれた男の子、
抱き上げた時に驚いてたよ？」
A「!?」
そう言えば誰かに抱き上げられた記憶が...
御幸「そんな体で歩けるわけねーだろ」
聞き覚えのある声
A「...///」
麻実「なーに恥ずかしがってんの」
A「別に...!」
麻実「怪我隠して勝負することは美学でもなんでもない｡その日の運任せなギャンブルプレー、そんなんじゃ全国では通用しない｡私ならもっと早い段階で下げるね」
反論の余地がない...
麻実「けど、まあ...そんな状態でも見せた底力｡本当によくやったよ」
歴代の先輩たちも乗り越えてきた壁
私も追い付けているのだろうか
麻実「体の状態を万全にして、勝負の流れを理解して試合に挑む｡これを当たり前にできてこそ、真のレギュラー」
誉められた言葉より響くのはレギュラーとしての心得だった
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作者名：しゅんしゅん | 作成日時：2020年6月28日 10時
