勝負の目 ー御幸サイドー ページ20
「クソッ...」
全力で当てにいったボールを簡単取られ
苛立ちを露にする野次馬たち
「ボール返しますねー!」
さっきの目つきが嘘のように爽やかな笑顔をみせるA
A「...ッ!」
ッシュ!!!
さっきの全力投球とは比べものにはならない豪速球で
投げた相手を仕留めるように向かってくる
カシャーン!!!
顔面に向かったボールは手前で急激な変化を加えて
胸の高さまであったフェンスに差し込こまれた
「ッ...」
当たると思って尻餅をついた野次馬
ボールを拾いにこちらに向かうA
「て、テメー!!!」
A「すみません、ノーコンで笑」
完全に怒らせた相手に悪びれた様子もなく笑ってる
「お前なめてんのか!!!」
胸ぐらを掴まれたA
帽子を被ってるからその表情は見えない
御幸「まずい...」
倉持「ああ...」
伊佐敷「テメー...「止めんなッッッーーーーーー!」
止めに入ろうとした俺たちに発したAの低くて響き渡る声
沈黙が流れ
「何こいつ、偉そうに笑」
「大きな声出しけど何も言わねーじゃん笑」
「俺らのヤジで心折れたりして?笑」
ギロッ
御幸「!!!!」
思わず息をのんだ
その目はとてつもなく冷たく刺すように鋭かった
「...」
そこ目付きに黙り混む相手
A「心が折れた?...笑わせんな
こっちはこれからのどうやって勝つか、考えると楽しみで仕方ないね...ニヤッ」
その目は"今"ではなく"先"を見据えている
相手を仕留める目
パシ...
「ッ...!」
胸ぐらを掴まれた手を払いのけ、今度は相手の首を掴んだ
「お、おい...」
周りも焦りだし
A「チームもこの試合も...あんたらに邪魔なんてさせへん
こっちは全国取るための勝負しとんねん。喧嘩なら後で相手してやる。だから黙って見てろ」
その手は緩むことはなく
A「もし...また邪魔したら
...殺す!」
その手はさらに強くなり
目はさらに鋭くなり
「クッ...わ...かった...ら...離せッ」
本気でシメにかかってる
こいつまじだわ...
スッ
A「て、ことで。応援よろしくお願いします!」
何もなかったように爽やかな笑顔で戻っていった
片岡「あれが勝負するやつの目だ。よく見とけ、あの子達は全国を取る」
2軍の試合に行ってたはずの監督がいた
笑顔の奥に見える瞳
それはこの先も見据えたまっすぐな勝負の目だった
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作者名:しゅんしゅん | 作成日時:2020年6月28日 10時