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「そういえば、ずっと学校一緒やけど全然喋ったこと無いよな俺たち」
「うん……だってグループがちゃうやん」
「おん? クラスは一緒やん」
「クラスやなくて……いつも一緒に居る友達、全然ちゃうやろ? それに……私ロボロ君がこんなに話しやすい人だとは思っとらんかった」
「はは、ホンマ俺のイメージどないなっとるんや」


 笑いながらロボロ君が体勢を変えると、自分の手に何かが当たっているのに気づく。
ベンチについていた手を見ると、なんとロボロ君の指先が私の指先に触れていた。
うそ、なんで? と彼の顔と指を交互に見るが、彼は気づいていないようだ。
感触を確かめるように優しく擦られている。
勿論異性に手を触られる事なんて今まで無かったし、指先をこんなにじっくり撫でられた事も無い。

 何? 何で? 何で自分が触ってるのがベンチじゃなくて人の手だって気づかないの?
急な触れ合いに顔が熱くなって、口を動かせどまともな文章が出てこなくなってしまった。


「雨止まんかなー、向こうの方は晴れてきたからもうそろそろやと思うんやけどなー」
「ろ、ぼろ、君は」
「おん?」
「傘、あるんやから、帰ってええんよ?」
「いやいや、女の子を置いて帰れんやろ」
「……な、」
「何でそんな顔真っ赤っかなん? ……え?」


 私の視線でようやく自分が何を撫でていたのか理解した彼は、ボンッという音が出そうなくらい急激に顔を赤くした。
それはもう、私の事を何も言えないくらい。


「す、スマン! ずっとスベスベのベンチやなって、思っとったんやけ、ど!」
「ううん、言えへんかった、私も、わるい」
「すまん、気持ち悪かったよな! 好きでもない男にこんな! ほんま!」


 とにかく恥ずかしくて首を横に振るしか出来ない。
そんなこと無いよって言えたら良かったんだけど、そんな言葉すら恥ずかしくて唇を開けない。
そんなこと無いって言ったら、まるで私が、ロボロ君の事好きみたいじゃん。


「気持ち悪、ない?」
「ん、」
「……ほんま?」
「ん……!?」
「何で顔、真っ赤っかのままなん……?」


 一度離れた指がもう一度重なって、ロボロ君はその面積をどんどん増やしてくる。
言葉を口に出そうとしたが、私は一体どうしたいのかわからず何も言えなかった。
嫌なの? ううん、嫌じゃない。気持ち悪い? ううん、それより恥ずかしい。
そんな脳内会議をしてるうちに私の手の甲は完全にロボロ君の手に包まれてしまった。



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作者名:すこ | 作者ホームページ:https://mobile.twitter.com/home  
作成日時:2022年3月9日 11時

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