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心に何かダメージを受けたような呻き声をあげて、座っていたソファの背もたれに埋まっていく様は、少し大げさな気はするが気持ちはわからなくもない。
二人ともお腹は満たされていてもう落ち着いてしまったのだ。
コンビニや近所のスーパーならだらだら行くのもアリだが、遠くのスーパーとなると腰が重い。
でもここまで話が盛り上がってしまったから、映画を見るなら何か欲しい、出来ればポップコーン、出来れば手作り……ああ、ダメだ! 心が手作りポップコーンに囚われてしまった!


「あー、映画、見たく無くなってきたわ」
「え? やめる?」
「おん、別に最初からどーしても見たかったわけちゃうかったし」


 ぽいっとリモコンを適当に放り投げてそのまま長い腕で私を抱きしめると、力いっぱい引っ張って自分の足の間に収めてしまった。
後ろから抱きしめられている体勢は嬉しいが消されたテレビ画面に映る自分たちのぐちゃぐちゃな姿を見て恥ずかしくなる。
ぐちゃぐちゃな髪の毛の上に顎を乗せ、口を尖らせる彼を液晶越しに眺めながら話を続けた。


「じゃあなんで映画見よって言ったの?」
「ん、こうやってAの事後ろから抱きしめたかっただけやもん」
「じゃあもうしてるじゃん」
「……おん」


 すーっと頭皮の匂いを嗅がれ、恥ずかしくて無理やり後ろを振り返ったら重なった唇。
軽く触れた感触に怒ろうとした言葉が出てこなくなり、数秒見つめ合って二人で笑ってしまった。
上半身をひねり彼の首に腕を伸ばすと、もう一度降ってくるキス。
啄むような可愛らしいキスはそれだけで心も満たしてくれる。


「こんな金曜の夜もええか」
「ん、一週間お疲れ様でした」
「お疲れー……っちゅうことで、食べてええ?」
「え? は? ちょ、」
「ポップコーンみたいにパンパンしたるからな」
「は? や、んっ、いきなり脱がさないで」
「朝まで付き合ってな、なんせ今日は金曜日やしっ」



End.

カーテンの内側/rb→←ポップコーンのように/ci



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作者名:すこ | 作者ホームページ:https://mobile.twitter.com/home  
作成日時:2022年3月9日 11時

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