ぜんぶきみのせい/zm ページ43
「あー、楽しかった! ねえ、ゾムくん」
「先輩呑みすぎっすよ、まともに歩けて無いじゃないっすか」
「歩けてる歩けてる、ほら」
「ああ、もう……家まで送りますよ、タクシー捕まえてきますね」
ふらふらと歩いている自覚はある。視界はいつもよりキラキラしていて落ち着きがない。彼の腕に捕まりながらも、家に帰らなきゃ、でも帰りたくないな、と密かに葛藤しているのは、この後輩に好意を持っているから。
「ゾムくん送ってくれるのー?」
「まあ、こんな状態の先輩放って置けへんし。なに? 先約でも居たんすか?」
「そんな人居ないもーん! ベッドまでよろしくお願いしまっす!」
「……何でこんな事に」
そんな事は、飲み会を企画した部長に言って欲しい。そもそも飲み会がなければ外でお酒なんて滅多に飲まないし、ゾムくんが参加するって聞いたから私も参加しちゃったんだし、隣なんて座ってくるから自分のペースも忘れて呑みすぎちゃったんだ。
ゾムくんのせいだ。ゾムくんが、優しいせい。
「ついたー」
「鍵どこにあるんすか」
「それぐらい自分で出せるよぉ、もう大人だし、私先輩だし!」
「……もう大人で先輩なら、酒に呑まれないでくださいよ」
「今日は、だってしょうがないじゃん」
「何がやねん」
「ねぇゾムくん、二次会しよ」
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作者名:すこ | 作者ホームページ:https://mobile.twitter.com/home
作成日時:2022年3月9日 11時