吸血鬼の愛/rb ページ33
なんで、と声を漏らすと彼は優しく、愛おしくこちらを見る。
太ももの内側に噛みついて離れないのは、異常性癖なんて言葉じゃ片付かないのだろう。
恥ずかしさで麻痺した頭でも、歯が食い込む痛みと貧血でぼやける視界でも、理解してしまう。
「なんでやろな、ホンマに覚えてないん?」
『覚えて、無い、ってなに……?』
「前世はやっぱり無理か」
離された口から零れたのは真っ赤な血で、それはきっと彼の血ではなくて、ギラリと光る口元がかっこいいなんて思ってる場合じゃなくて……でも、先ほどまで愛を囁き合ったその口が私の皮膚をくすぐりながら近づいてくるものだから、そんなことを思っても仕方ないだろう。
私は、ロボロが好きだ。
*
それはいつからだったか、小学校の時からだったと思う。
近所に住む高校生のかっこいいお兄ちゃん、という認識から始まった彼との日々は、急速に恋心に変わっていった。
私が高校生になっても変わらずかっこいいロボロは、入学早々教師になって私の高校に赴任してきた。
「よろしくなぁA」
『ロボロおに……先生』
「お兄ちゃんでええのに」
『知らないの、ロボロ先生かっこいいから女子生徒に人気なんだよ』
「お? 俺かっこええ? それは嬉しいな」
いい意味で老いを感じさせないロボロ先生は、瞬く間に女生徒から大人気になった。
それこそいつからかファンクラブが出来て、会長が幼馴染の私を妬むほどに。
軽いシカトから始まったいじめはだんだんと陰湿さを増し、私の体は痣を増やしていった。
運動部でもない私がボロボロになっていくのは不自然なはずなのに、周りは誰も助けてくれない。
仲間なんて、友達なんていない。
そう絶望していた時、ロボロだけは助けてくれた。
「誰に怪我させとるか、わかっとんのかお前ら……ファンクラブなんて変な物作った挙句にAを傷つけて、ただで済むと思ってんちゃうぞアマ……!」
その時は見て見ぬふりをしていた、だって助けてくれたのはロボロだもん。
いじめていた生徒を睨む目が、暗い室内で不自然に光を反射していたとしても、それでもロボロはヒーローだったんだもん。
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作者名:すこ | 作者ホームページ:https://mobile.twitter.com/home
作成日時:2022年3月9日 11時