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心のモヤを吐き出し続ける彼女の言葉は途中から耳に届かなくなった。
彼女が処女? 真っ白? 誰にも汚されていない?


「鬱くん? ……やっぱり鬱くんも引いた?」
「引く、わけないやろ寧ろ大歓喜だわなめんな」
「うわぁ、っ!」


 少々強引に彼女を胸に抱き、湧き上がる感情を体温でぶつけた。
Aがまだ、誰にも奪われていない。
もちろん幼い頃の俺にも。
ああ、そう思えば途端に熱が込み上げてくる。
処女至上主義ではないはずなのに、湧き上がった感情は嬉しい、だ。


「Aの初めて、全部俺に頂戴。楽しい事いっぱい教えたるから、全部」
「で、も、という事は、鬱くん私の彼氏になってくれるの……?」
「なるなる」
「でも私浮気はやだよ?」
「繋がってる女全部切る」
「ほんと? 信じるよ?」


 自分で抱きしめていた手を控えめに俺の手と重ね微笑むから、うっかり昇天しそうになって歯を食いしばった。
あの頃の面影を残して大人になった彼女を、子供の様に力いっぱい抱きしめる。
今度はちゃんと、ふたりぼっちになろう。


「新しく秘密基地作ろうや。今度はちゃんと壁と屋根があるところで」




End.

お日様の香り/sha→←.



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作者名:すこ | 作者ホームページ:https://mobile.twitter.com/home  
作成日時:2022年3月9日 11時

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