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寝室のベッドに座り、小さいテーブルにノートパソコンを置いて仕事を続ける。
時に体勢を変え、時に寝転がり、自分で作ったデザインを遠くから眺め、また手直しをする……やっぱり一つのロゴを作るのにかなり時間が掛かっちゃうな。
それで前に会社勤めしていた時は怒られていたっけ。
でも、自分で納得出来る物を作りたい。
独立してそれが出来るようになったお陰でお客も増えてるし、私はこのやり方が合っているんだろう。
充実している毎日に後悔は無い。


 コンコンコンと突然音が鳴り、すぐに開かれた寝室のドア。
その隙間からこちらを伺うのは、ワイシャツではなくいつものスウェット姿の彼だった。


「……A、生きとる?」
『え? うん、生きてるよ? ショッピ君どうしたの? お仕事終わった?』
「ん、とっくに。時計見てないやろ」


 そう言われてパソコンの画面に小さく表示されている時計を見る。
小さすぎて目に入っていなかったが思っていたより時は過ぎており、いつもならショッピ君が「帰ります」とメッセージを送ってくれる時間だった。


『わ、ごめん気付かなかった』
「やと思ったわ……凝り性なんはええけど時間はこまめにチェックせな」
『うーごめん、すぐ夕飯の準備するね』


 作ったロゴのファイルを保存して、急いでパソコンを閉じる。
寝室のドアを開け入ってきた彼は、盛大なため息をついて私の隣へ座った。
わ、めっちゃ怒ってる?
そうだよね、この時間ならもうお腹空いちゃってるよね。


『ごめんね、すぐ作るから』
「はぁー、忘れとるんか? 夕飯一緒に作るって約束したやん」
『……あ!』
「材料も昨日買ったやん、一緒に餃子包もうって言うたの、覚えてへん?」


 少し悲しげに私を見つめる彼の言葉に、精一杯首を横に振った。
覚えてる、というか思い出した。
今日は一緒に餃子を作るんだった!


『ごめん、本当にごめん!』
「集中して仕事してたんはわかるけど……ちょっと心配になってきた」
『心配?』


 隣に座る彼の手が私の前髪をかきあげ、おでこに一つキスが落ちてくる。
少し照れ臭く顔に熱が集まるが、そのまま見上げれば彼は困ったように眉毛を下げていた。


「俺が仕事で居ない時もこうなんかなって。パソコン仕事なんやから、適度に休憩したり体動かさなあかんよ」
『だ、大丈夫、いつもはしてるよ』
「ほんま?」
『ほんま! 今日はたまたま、ちょっと熱が入っちゃって』




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作者名:すこ | 作者ホームページ:https://mobile.twitter.com/home  
作成日時:2022年3月9日 11時

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