崖っぷちホテル！ (ページ3)

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episode 1-02 ページ3

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宇海「ここが事務室です。あちらが「第三百十七条、旅館宿泊の先取特権。旅館の宿泊の先取特権は」

宇海が言いながらAと事務室に入った瞬間、どこかから音が聞こえた。

Aは驚きで肩を跳ねさせたが、宇海は平然とした顔で給湯室に入っていき、その音を止めた。
Aも宇海のあとを追い、給湯室に入り部屋を見渡すと、そこは生活感で溢れていた。

宇海「すみません、懸賞で当たった六法全書目覚ましです！
でも壊れてまして。
懸賞はいいですよ。ワクワクします！」

宇海は"六法全書"と書かれている目覚ましをAに見せ、ピースにした指を折り曲げて言った。

宇海「私ここで寝泊まりしてるんです。」

『ここでですか…！？』

宇海「はい。」

またも平然とした顔でそう答える宇海とは反対にAの顔には困惑気味の表情が浮かぶ。

宇海「あ、こちらが総支配人室になります。」

宇海はそう言うと、総支配人室の扉をコンコンと叩く。
Aは緊張を和らげるために、軽く深呼吸をした。

すると、扉の向こうから"どうぞ"という声が聞こえ、宇海は扉を開けた。

宇海「支配人、Aさんです。」

Aが来るのを楽しみにしていた佐那は笑顔で椅子から立ち上がった。

佐那「初めまして。総支配人を努めさせて頂いております、桜井佐那です。
Aさん、お待ちしておりました…！」

『は、初めまして、苗字Aといいます。よろしくお願いします…！』

佐那の丁寧なその対応と明るい笑顔に、Aの緊張の糸はいつの間にか解けていた。

佐那「Aさん、これからよろしくお願いします。」

『こちらこそ、よろしくお願いします…！』

服部「支配人。」

「「『うわああ！？』」」

物音ひとつ立てずに現れた服部に3人は声を揃えて驚きの声を上げて息を荒げた。

佐那「はあ…服部さん…。」

服部「そちらの方は？」

佐那「ああ、新しく入った方です。」

『初めまして…！苗字Aです！』

服部は自分の目の前で頭を下げるAに視線が離せなかった。

服部はAのその柔らかい雰囲気と可愛らしい見た目、落ち着く声、その全てからたった今恋に落ちてしまったのだ。

服部「…服部と申します。よろしくお願い致します。」

宇海「それで服部さんどうしたんですか？」

服部「事務室に皆様お集まりになられました。」

宇海「じゃあ、さっそくミーティングを始めましょう！」

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