崖っぷちホテル！ (ページ2)

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episode 1-01 ページ2

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-4月-(A p r i l

『ここかな…。』

Aは片手にあるスマホの画面に写るマップを頼りに動いていた足を止め、目の前に佇むホテルを見上げた。

宇海「初めまして。苗字Aさんですよね？」

『…はい…。』

目の前に現れたその男に返事をすると、その男の顔は花が咲いたようにぱあっと笑顔に変わった。

宇海「私、ここの従業員の宇海直哉と申します。
いやあ、お待ちしておりました。
何せ、あなたの料理が大好きでして。」

それを聞いたAは驚いたように目をぱちくりさせた。

『私の料理食べたことあるんですか…？』

宇海「ええ。
Aさんが以前働いていたホテルに一度行ったことがありまして、そこで一度だけ食べに行ったことがあります。

本当に…ワクワクする味でした…。」

宇海は笑顔で遠くを見つめながらピースにした指を折り曲げて言った。

『ありがとうございます…！』

嬉しくて、照れながらも口角を上げお礼を言うA。

宇海「あ、こちらへどうぞ！」

宇海はそう言ってAをホテルに入れると、Aは目を輝かせてホテル内を見て"わあ…"と声を漏らした。

宇海「ここのホテル、素敵ですよね。」

『はい…。こんな所で働けるなんて嬉しい限りです…！』

Aがホテル内を見回しているとフロントに立っている男性とパチッと目が合った。
その寡黙で不機嫌そうな表情のその男にAはスっと目を逸らしてしまった。

宇海「あ、フロントマンの大田原さんです。
怒ってないですよ。」

隣にいる宇海に笑顔で言われ、Aは大田原にもう一度視線をうつしてみたが、やっぱり直ぐに逸らしてしまった。

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