王と皇帝は相容れない筈だったpart3 (ページ38)

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FF開会式三日前ページ38

ヒロインside
何故私は野坂の部屋で
野坂のシャワーの音を聞かされているんだ

シャーッとシャワーの音が聞こえる中私は
何故か湧いてくる羞恥に耐えているだけだった

シャワー室から野坂の声が聞こえた
「蓮、タオル忘れた。持ってきて。」
『…なぜ忘れる！』
「ごめんね。君が部屋にいるから舞い上がって忘れちゃった。」
抑揚のない声で言う
『謝る気ないな。』

私はタオルがどこにあるか知ってた

というか
覚えさせられた？

私はタンスを開けタオルを取り出した

シャワー室の前まで来る
『ほら、持って来たぞ。』

がちゃりと扉が開いて
「ああ、ありがとう。」
『～～～～！その格好で出てくるな！』
私は視線を逸らしながらタオルを渡した

「蓮って結構ウブだよね。」
クスクスと笑いながら野坂は言う

『いいから、服を着てくれ！風邪を引く！』
「心配性だな。」
野坂は呆れた顔で扉を閉めた

『全く、貞操観念ガバガバかよ。私がしっかりしなくては！』

私はベッドに腰かけ待っていた
「お待たせ。」
野坂は出てきた
『全く…。これっきりだからな。』
「とか言って、また来るくせに。」
『お、お前が呼び出すからだろ…！』

「野坂さん！」
西蔭がノックもせずに入ってきた
「柊先輩もいたんですか、丁度良かった。…竹見が脱走しました。」
『脱走…。』
「………。」

リビングホールに部員全員が集まった
野坂は椅子の背もたれの部分を抱き込むように座ってる

こいつは椅子の座り方、ちゃんと分かってるのか？

私は野坂の右斜め後ろ
西蔭はその反対の左斜め後ろに立った

「まさか君がこんな事をするなんてね。」
「こんな事…？」
「君は自分がやった事の重大さが分かってないようだ」
「ただ自由になりたかっただけだ！何が悪い！」
「アレスの天秤は人の育成を完全に管理するシステムなんだよ。君がやるべきことを決めるのは…君じゃない。」
「俺のやることは俺が決める！システムに決められるなんて耐えられるかよ！」
「チャンスをやる。」
「…？」
「今ならまだ目を瞑ってもいい。僕だって上には報告したくない。」
「心を入れ替えてチームの為に力を尽くしてくれるかい？」
「い、いやだ！俺は漫画だって読みたいしテレビだって見たい。アレスプログラムで全て禁じられるなんてもう沢山だ！」

私は竹見の心からの叫びに胸が痛くなった

だけど一番傷ついてるのは…

私はそっと野坂を盗み見た

続く