灰崎の怨恨 ページ29
ヒロインside
星章学園と緑ヶ丘中学の試合を見に
私、野坂、西蔭は星章に来ていた
「あっちの席が空いてるみたいだね。」
野坂が空席を見つけたらしい
視界の隅に灰崎と稲森を見つけた
まぁ野坂が気にしないのなら私が気にしても仕方ないな
「ところで竹見の件ですが、彼はもう限界のようですね。」
「そのようだね、彼の目には感情が表れすぎていた。あれは弱い人間の目だ。でも、いいさ。代わりはいくらでもいるからね。」
『…やっぱり私の追加メニューはきつかったのかな。』
私は少し落ち込む
「いや、実際あれで個人の力は底上げされているので先輩は悪くないです。耐えきれないあいつが悪い。」
「そうですね。俺もあの追加メニューのおかげで徐々に力がついきているので先輩には感謝しています。」
『そ、そうか？』
私は二人の素直な称賛に照れる
しかし
「待てよてめぇ。今なんて言いやがった。」
まあ絡んでくるよな
「ん？灰崎君じゃないか。」
まるで今気づいたような物言いだ
私と西蔭は野坂を庇うように前に出る
「灰崎…？」
稲森が心配そうに灰崎を見る
野坂は私と西蔭を下げさせ
「彼は僕に話があるようだ。」
「野坂さん。」
『野坂。』
「大丈夫だよ。」
野坂は優しい声音で言う
「人間が弱くて悪いのかよ。てめぇは何様のつもりだ。」
「それは戦ってみれば分かるんじゃないかな。少なくとも君たちよりは上のレベルの人間さ。」
「もっとも木戸川清修程度に苦戦するようでは野坂さんを本気にさせることは出来ないだろうがな。」
『それは言い過ぎ…、と言いたいところだがまぁ、事実だな。』
サッカーの技術といいポテンシャルといい
灰崎も稲森もまだまだだ
「ほざけっ！てめぇらは俺がぶっ潰す！」
「灰崎君、君はどうしてそこまで僕たちに敵意を向けるんだい？」
「何も知らないと思ってんのかよ。アレスの天秤システム、その薄汚いやり方をなぁ！…茜はそいつの犠牲になって…！」
「てめぇらだけは絶対許さねえ！」
「…そう。でも今のままの君では僕達に勝つことは不可能だよ。」
『………。』
また野坂が傷ついた
彼の心無い言葉のせいで…！
「先輩…。」
野坂は視線で私を止める
私と野坂、西蔭は灰崎達に背を向けた
灰崎の射貫くような視線を背に受けながら
空席についた途端
館内放送が
どうやら緑ヶ丘中学の部員全員インフルエンザにかかったようだ
部員全員か、天文的な確率だな
正直ドンマイも言えないな
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作者名：おこめ | 作成日時：2018年11月1日 17時
